2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規多糖誘導体リン酸化プルランによるチタンインプラント周囲組織の再生促進
Project/Area Number |
20390498
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鈴木 一臣 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30050058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 正郎 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90105594)
田仲 持郎 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40171764)
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Keywords | インプラント / チタン / 表面処理 / 骨伝導 / 上部構造体 / 適合性 / 接着材 / 被膜厚さ |
Research Abstract |
緒言:歯科医療におけるインプラント法は,歯の欠損部位に人工歯根を植立してそこにクラウン,ブリッジ等の上部構造体で歯冠修復を行い,天然歯に近い状態で咀嚼機能を回復させる。人工歯根としてアルミナ単結晶,アパタイト焼結体およびチタンやコバルト/クローム系合金が知られているが,これらのインプラント体では骨の誘導を促すことは難しい。我々は,チタンをポリリン酸で処理することによって,骨芽細胞や間葉系細胞の接着ならびに増殖が促進されることを明らかにした。そこで,さらなる高機能インプラントの開発を目的として多糖誘導体リン酸化プルランの導入ならびにインプラント上部構造体とアバットメントとの接着材開発について検討した。 材料および方法:1) リン酸化プルランの合成は,平成20年度本実績報告書に従って行った。2) リン酸化プルラン処理チタンプレート上での細胞応答の1例として,チタンプレート上で培養したMC3T3-E1細胞のマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)の発現におよぼすチタン表面処理の効果を測定した。3) インプラント上部構造体の接着材開発のための情報収集から歯質1級窩洞に対するグラスアイオノマーセメント4種の適合性を接合界面14ポイントについてそのギャップを測定した。 結果および考察:MC3T3-E1細胞の細胞接着は,MAPKの中でERKの活性がリン酸化プルランの処理チタンプレート上で亢進した。また,MEK/ERK阻害剤添加により,その増殖反応は抑制された。この結果,チタンをリン酸化プルラン処理することによってMC3T3-E1細胞の増殖促進反応は,MAPKの中でもERKの経路を介した反応であることが示唆された。一方,4種(Fuji IX GP, Glasionomer FX-H, Ketac Molar Aplicap, Fuji II)のセメントの歯質窩洞適合性は,窩底部との適合性は,良好であったが辺縁部の近心壁および遠心壁に高い頻度でギャップが認められた。これは,セメントの硬化収縮応力と接着強さとのバランスが崩れた結果およびセメントの脆弱性に基因していると考察した。
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Research Products
(3 results)