2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390507
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
椎葉 正史 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (20301096)
|
Keywords | micro RNA / 口腔癌 / マイクロアレイ解析 / 癌関連遺伝子 |
Research Abstract |
microRNA(miRNA)は発生・分化や様々な器官における多くの遺伝子の発現を制御していることから、ヒト疾患への関与も示唆されており、近年、癌遺伝子あるいは癌抑制遺伝子としても注目されている。しかし、口腔領域において、miRNAを用いた本格的な網羅的プロファイリングは報告されていない。本研究では、正常口腔粘膜上皮3種類と口腔癌細胞株10種類(HSC2,HSC3,HSC4,Ca9-22,KON,SCC4,OK92,OSC19,Sa3,H1)を用いて、ヒトmiRNA1083種類(インビトロジェン新規同定遺伝子373種類を含む)のプローブを搭載したNCode^<TM> Human miRNA Microarray V3を使用してマイクロアレイ解析を行った。その結果、正常口腔粘膜上皮と比較して口腔癌細胞株で著明な発現変動を示し、口腔癌に関与していることが示唆される13種類のmiRNAを同定した。そのうち、口腔癌細胞株で強発現していたmiRNAは、miR-196a,miR-155であった。一方、発現減弱していたmiRNAはIVGN-novel-miR_3547,IVGN-novel-miR_3345,miR-100,miR-125b,IVGN-novel-miR_3673,IVGN-novel-miR_3338,let-7c,let-7b,IVGN-novel-miR_3617,miR-222,IVGN-novel-miR_3353であった。これらのmiRNAについて、プライマーを作製しreal time PCRで発現解析を行った。その結果から、正常口腔粘膜上皮と比較して口腔癌細胞株で有意に発現減弱していたmiR-125bに注目した。miR-125bは臨床検体において、口腔癌50症例中43症例にmiR-125bの発現抑制が確認され、また、臨床指標とmiR-125bの発現との関連を調べたところ、腫瘍の大きさ、TNMステージ分類及び予後との有意な相関が認められた。そこで、miR-125bを口腔癌細胞株HSC2、HSC3を用いて、遺伝子導入し、増殖能に関して検討を行った。その結果、miR-125bを過剰発現させた細胞株はコントロール群と比較して、増殖能が有意に抑制されていた。これらの結果から、miR-125bは口腔癌において、癌の進展に関与することが示唆された。
|