2010 Fiscal Year Annual Research Report
口蓋裂発症の過程におけるソニックヘッジホッグシグナルの関与
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20390510
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
井関 祥子 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80251544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天笠 光雄 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (00014332)
須田 直人 明海大学, 歯学部, 教授 (90302885)
佐藤 豊 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (90361716)
太田 正人 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (70313228)
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Keywords | 口蓋裂 / ソニックヘッジホッグ / エンハンサー |
Research Abstract |
MFCS4はsonic hedgehog(Shh)のエンハンサー領域のひとつで哺乳類から魚類までよく保存されており、咽頭領域の発生期に特異的に活性を示す。MFCS4ホモ欠失マウスでは約16%、MFCS4とShhの複合ヘテロ欠失マウスでは100%の頻度で口蓋裂が発生する。過去に報告されたShh欠失マウスは、ヘテロ欠失では口蓋裂などの表現型がなく、ホモ欠失では発生初期に胎生致死するものが多かったため、MFLCS4とShhの複合ヘテロ欠失マウスは口蓋裂発症の過程におけるソニックヘッジホッグシグナルの関与を解析する手段として新規で有効であると考えられた。我々はこの複合ヘテロ欠失マウスを組織学的に観察し、哺乳類口蓋の発生過程すなわち口蓋突起の下方伸長、水平転位、突起間癒合のうち、水平転位が起こらずに口蓋裂になっていることを明らかにした。また、口蓋突起を舌から自由にして上顎体を器官培養すると水平転位し、さらに突起間癒合も起こることを明らかにした。舌は羊水嚥下への参加などを通じて口蓋突起の水平転位に寄与することから、この器官培養の結果は水平転位が起こらない主たる原因が舌にあることを示唆する。そこで複合ヘテロ欠失マウスでの内外舌筋群の発達に注目し、同腹野生型マウスと比較して上縦舌筋とオトガイ舌筋の発達が劣り、特にオトガイ舌筋は走向が不整で正中で癒合していることを発見した。すなわち、複合ヘテロ欠失マウスでは咽頭領域でShh発現が低く、舌筋の発達や機能が不十分で、口蓋突起の水平転位を促す作用が不足し口蓋裂になると示唆される。また、ヒトゲノム試料を多数得て配列を比較し、MFCS4の配列中に新規の数十の一塩基多型を発見し、口蓋裂を持つヒト個体にのみ見られる多型を複数発見した。
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Research Products
(5 results)