2008 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸ペースメーカーニューロンによる舌運動の脳幹内イオンチャネル性制御機構の解析
Project/Area Number |
20390515
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小泉 英彦 Osaka University, 歯学部附属病院, 講師 (10324790)
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Keywords | 脳・神経 / 神経生理 / 呼吸 / パッチクランプ |
Research Abstract |
舌運動が呼吸調節に重要な役割を担っていることは明らかであるが、脳幹内における呼吸性舌運動の制御メカニズムについては十分明らかにはされていない。そこでまず本年度は、呼吸調節因子のひとつであるpHに感受性をもつ特殊なK+チャネル(TASKチャネル)に着目し、呼吸性舌運動発現における役割について解析した。研究には新生児ラット脳幹スライズを用い、まず、舌下神経から呼吸性神経活動を記録した上で、呼吸ペースメーカーニューロンあるいは舌下神経運動ニューロンからパッチクランプ・ホールセル記録を行った。ついで、これらのニューロンのTASKチャネルコンダクタンスを電流-電圧曲線を用いて計測した。TASKチャネルは、pHの低下により閉鎖し、ハロセンの投与により開くことが知られており、この特性を利用した。その結果、呼吸ペースメーカーニューロン、舌下神経運動ニューロンともにTASKチャネルを有すること、また、そのコンダクタンスは、舌下神経運動ニューロンで有意に大きいことが明らかとなった。さらに、呼吸ペースメーカーニューロンのリズム性放電頻度とTASKチャネルコンダクタンスには逆相関があることが示唆された。つぎに、培養液のpH変化やハロセン投与による舌下神経の呼吸性神経活動への影響について解析を行った。その結果、培養液のpHを7.4から7.0へ変化させると、舌下神経の呼吸性活動の放電頻度が有意に増加し、逆に、ハロセン投与(0.2mM)のでは、その放電頻度が有意に減少した。また、この舌下神経呼吸性活動の放電頻度変化と呼吸ペースメーカーニューロンのTASKチャネルコンダクタンス変化との間に相関関係があることが示唆されたが、今後さらに、コンピュータ・シミュレーションの手法も用いて、より詳細に解析する予定である。
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