2009 Fiscal Year Annual Research Report
口腔がん幹細胞の分離と幹細胞を標的とした新規治療法の開発
Project/Area Number |
20390517
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
白砂 兼光 Hiroshima University, 医歯薬学総合研究科, 特任教授 (30093420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 剛 九州大学, 大学病院, 講師 (40322292)
碇 竜也 九州大学, 大学病院, 助教 (70380467)
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Keywords | がん幹細胞 / 口腔癌 / 癌転移モデル / 上皮間葉移行 |
Research Abstract |
最近、がん細胞の中にその源となる"幹細胞的"な役割をもつ細胞があることが想定され、がん幹細胞(Cancer Stem Cell)と呼ばれている。白血病の幹細胞のように幹細胞は特異的なマーカーを持つことが知られているが、未だ口腔癌については分離の報告はなく、マーカーも不明である。申請者らは癌細胞悪性形質の検討のために口腔腺様嚢胞癌細胞株を用いてマウスin vivo浸潤・転移モデルを確立し、マウスへの移植・培養系への分離を繰り返すin vivo selectionを行うことによって癌細胞が高い造腫瘍性と高い転移性をうることを確認している。移植細胞数を限界まで減少させた状態で腫瘍を形成することは幹細胞が具備すべき自己複製能を有する細胞である証明である。このようにして得られた細胞株は癌幹細胞を多く含むと考えられる。 そこで口腔腺様嚢胞癌における幹細胞を検索するため、転移株と親株を用いてDNAマイクロアレイにより、発現遺伝子の網羅的解析を行った。転移株は、接着分子及び関連シグナリングに著明な変化が認められた。特にE-Cadherin、β-Cateninおよび種々のintegrinおいて発現の低下が見られた。逆に、Vimentinの発現は亢進しており、ACCS-M GFPにおける上皮間葉移行が示唆された。また癌転移抑制遺伝子であるCD82の発現の低下が認められた。ACCS-M GFPはsphere形成能を有すること、胚性幹細胞マーカーについて発現が2から3倍に上昇していることから幹細胞様細胞である可能性が示唆された。
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