2010 Fiscal Year Annual Research Report
テロメラーゼ依存性ウィルス製剤の口腔扁平上皮癌に対する診断・治療への応用
Project/Area Number |
20390520
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
新谷 悟 昭和大学, 歯学部, 教授 (80294429)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / テロメラーゼ / ウイルス治療 / テロメライシン / テロメスキャン |
Research Abstract |
最近の分子生物学の進歩により、癌細胞の悪性形質の発現に重要な分子を標的とした抗癌治療の開発が試みられている。染色体末端のテロメア長を保つ作用を持つ酵素テロメラーゼは85%以上の癌細胞でその活性の上昇が知られており、現在、癌治療のターゲットとして最も注目を浴びている分子の一つである。口腔扁平上皮癌においてもテロメラーゼ構成分子であるhTERT(human telomerase reverse transcriptase)発現が認められると推測され、テロメラーゼ(hTERT)活性依存的薬剤の標的疾患であると考えられる。本研究では、口腔扁平上皮癌を対象とした基礎研究に基づいて、テロメラーゼ依存性新規抗癌ウイルス性剤テロメライシンおよびテロメスキャンを用いた診断・治療の臨床応用を目指した前臨床研究を推進し、口腔癌の新たな治療戦略の早期開発を目指している。そこで同所性移植モデルにおけるテロメライシンの選択的増殖と抗腫瘍活性の検討を行った。具体的にはテロメライシンを腫瘍塊に局所注射を行い、経時的に腫瘍体積およびマウスの体重の変化について検討した。その結果、コントロール群に比較して、テロメライシン投与群は経時的に腫瘍体積の減少を認めた。このためin vivoにおいても明らかな抗腫瘍効果を認めたと考えられる。次にテロメスキャンを用いて、腫瘍塊に局所注射したところ、腫瘍はGFPの蛍光発色を認めた。さらに転移リンパ節に対しても同様の発色を認めた。以上により、テロメスキャンは腫瘍の伸展範囲を検索できる可能性が示唆された。またこれらを病理組織学的な評価と比較検討したところ、約90%での感度・特異度を得ることができ、治療診断用ツールとしての可能性を広げた。
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