2008 Fiscal Year Annual Research Report
バイオミネラリゼーションモデルを用いたエナメル質形成不全症(AI)発症機構の解明
Project/Area Number |
20390522
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
谷本 幸太郎 Hiroshima University, 病院, 講師 (20322240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 伸明 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90397969)
丹根 一夫 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30159032)
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Keywords | エナメル蛋白 / バイオミネラリゼーション / エナメル質形成不全症 / アメロゲニン / ハイドロキシアパタイト |
Research Abstract |
1)アメロゲニンのnanosphere形成とハイドロキシアパタイトへの結合能の検討 ヒトAMELX遺伝子情報をもとに、正常ヒトリコンビナントアメロゲニンの精製を行なった。 得られた蛋白をSDS-PAGEおよびウエスタンブロット法を用いて分析した結果、約20kDaの完全長アメロゲニンが高純度で精製されたことが明らかとなった。また、P41T変異AMELXを元に、変異型アメロゲニンの作成を同様に行なった。正常および変異アメロゲニンを中性溶液中に溶解し、それぞれの濃度を変えてnanosphereの構築様相について原子間力顕微鏡(AFM)を用いて検討した。その結果、変異型アメロゲニンでは、正常アメロゲニンに比較してより大きなnanosphereが形成されることが明らかとなった。 2)アメロゲニンによる実験的ハイドロキシアパタイト結晶成長の誘導 精製したアメロゲニンを用いて、ハイドロキシアパタイト結晶成長誘導実験を行なった。中性溶液に正常アメロゲニンを高濃度に溶解し、nanosphereの構築を行なった後、過飽和濃度のカルシウムおよびリン酸を含有した疑似体液中に混和した。これを用いてハイドロキシアパタイト結晶を包埋したガラスセラミックディスクを入れた試験管を満たし、37℃でインキュベートしたところ、24時間後にアパタイト結晶の成長が認められたことがAFMにより確認された。変異型アメロゲニンによるアパタイト結晶成長は不十分であった. 以上の結果から、正常アメロゲニンと変異型アメロゲニンのnanosphereの構築機能の相違が明らかとなった。これにより、アパタイト結晶誘導能に影響が及ぶものと考えられ、エナメル質形成不全へとつながる可能性が強く示唆された。今後さらに検討を進め、正常アメロゲニンと変異型アメロゲニンのアパタイト結晶誘導機能の相違を明確にすることにより、エナメル質形成不全症の発症機構の解明が期待される。
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