2008 Fiscal Year Annual Research Report
がんや慢性疾患患者のための色彩映像によるストレス緩和媒体の開発
Project/Area Number |
20390541
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
齋藤 ゆみ Kyoto University, 医学研究科, 教授 (40196019)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野本 愼一 京都大学, 医学研究科, 教授 (00172825)
齋藤 邦明 京都大学, 医学研究科, 教授 (80262765)
作田 裕美 京都大学, 医学研究科, 准教授 (70363108)
笹山 哲 京都大学, 医学研究科, 准教授 (90215749)
多田 春江 京都大学, 医学研究科, 助教 (10432379)
|
Keywords | 色彩映像 / がん患者のストレス / ストレス緩和 / STAI / POMS / クロモグラニン / IgA / ストレスホルモン |
Research Abstract |
本研究はがんや骨髄移植など慢性的ストレスやうつ状態下にある患者のストレスを色彩映像を用いて緩和し、治癒力の消耗を抑えるためのセルフケア媒体を開発することを最終目的としている。本年度はまず、1)自然の色彩映像のデータベースを作成すること2)感情状態に適した映像選択ができる選択プログラムソフトの開発3)ストレス下にある成人被験者へのパイロットスタディの実施4)パイロットスタディの結果の分析を主な研究実施内容とした。1)に関しては2名の自然の写真家によってそれぞれDVD7枚の自然の映像が撮られ、それらを色彩分類し、5彩色の映像データベースがほぼ目標に達成した。また2)の色彩映像を被験者のその時の感情状態に合わせて選択できるプログラムソフトの開発を進め、パイロットスタディの実施に供した。しかし選択時の操作の簡素化や映像表出のスムーズさなどの点で、まだまだソフト開発には改善すべき点が明らかになった。次年度の継続課題とする。3)のパイロットスタディは24人の学生に被験者内計画で色彩映像を選択できる実験群、映像がランダムに現れるコントロール群関で心理的反応及びストレスホルモンの変化を調べた。事前の被験者のSTAIによるストレス評価は一般人より高く、状態不安の平均は43.2、特性不安の平均得点は47.9であった。このような被験者に疲労ストレスを負荷した後の実験群における映像暴露前後のPOMS値は5つのストレス感情状態に有意な変化はなかった。唯一ポジティブな感情状態である活気の得点が有意に低下していた。この結果はコントロール群においても同様であった。一方、IgAにおいてはストレス負荷後において実験群、コントロール群とも有意に上昇していたが、両群とも映像暴露後においての値の変化は見られなかった。また、ストレスの生化学的指標であるクロモグラニンAの映像暴露後の有意な変化も見られなかった。今回のパイロットスタディではPOMS値の結果やストレスの生化学指標の値をみると、被験者に対する事前のストレス負荷が強すぎたため、色彩映像を見たことによるストレス緩和への影響を明らかにすることができなかったと判断できる。結果的にはパイロットスタディの実験計画が不十分であったことになったが、しかし、このことから、次年度の実験計画の改善点が明らかとなった。
|
Research Products
(1 results)