2009 Fiscal Year Annual Research Report
耐性菌拡大防止に向けた多職種連携による地域ネットワークと感染監査システムの開発
Project/Area Number |
20390545
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
前田 ひとみ Kumamoto University, 大学院・生命科学研究部, 教授 (90183607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 久子 名古屋市立大学, 看護学部, 教授 (00230285)
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Keywords | 耐性菌感染 / 地域ネットワーク / 耐性菌感染サーベイランス / 感染予防看護 / 多職種連携 |
Research Abstract |
モデル地域における薬剤耐性菌サーベイランスのネットワークを構築し、現在、薬剤耐性菌の発生動向を調査中であるが、ESBLs-E. coliの検出件数が増加してきている。また、看護ケアによって感染が拡大する可能性が大きい多剤耐性緑膿菌に焦点を絞り検体を収集した結果、5月から10月までの6ヶ月間で、26人の患者から検体が採取できた。一部遺伝子型に基づく疫学的解析を行った結墨、院内感染が疑われる事例もあった。今後、さらに収集を続け、遺伝子型に基づく疫学的解析を行っていく予定である。 また、全国訪問看護事業協会正会員リストから1700施設をランダムに抽出して、訪問看護ステーションでの薬剤耐性菌感染症拡大予防の実態調査を郵送法によって実施した。回収数は228施設(13.5%)、有効回答数は211施設(12.5%)であった。感染症マニュアルを作成している施設のうち、薬剤耐性菌に関する内容を含んでいる施設は72.2%であった。これまでに薬剤耐性菌保菌者のケア経験がある施設は65.9%、抗生物質使用者のケア経験がある施設は89.6%であったが、訪問依頼を受ける際に薬剤耐性菌保菌の有無を確認している施設は約半数であった。また、手洗い、PPEなどは注意されていたが、吸引後の廃棄物や排尿などの処理や排出された菌による環境汚染については関心が希薄な頃向にあった。在宅療養者の重症化が進んでいる今日であるにも関わらず、薬剤耐性菌保菌状況について、訪問看護ステーションと関連施設間での情報交換が不十分であることが示されたことから、地域における薬剤耐性菌感染症の拡大予防に向けた連携体制の整備が急務だといえる。 次年度は、多剤耐性緑膿菌保菌者の呼吸管理や導尿カテーテル管理の看護技術に関する調査や多剤耐性菌保菌者の施設問移動の実態を調査し、地域のネットワークを活用した薬剤耐性菌拡大予防の戦略について考察する予定である。
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