2010 Fiscal Year Annual Research Report
耐性菌拡大防止に向けた多職種連携による地域ネットワークと感染監視システムの開発
Project/Area Number |
20390545
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
前田 ひとみ 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (90183607)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 久子 名古屋市立大学, 看護学部, 教授 (00230285)
|
Keywords | 耐性菌感染 / 地域ネットワーク / 耐性菌感染サーベイランス / 感染予防看護 / 多職種連携 |
Research Abstract |
2009年に構築したモデル地域の薬剤耐性菌サーベイランスネットワークを通じて、2009年5月から2010年4月の1年間に収集した検体を解析した。その結果、耐性菌が最も多く分離された検体は泌尿器系由来のものであった。月毎の新規耐性菌保菌者の検出率はESBL-E.coliが最も多かったが、月毎の変動は見られなかった。ESBL-Klebsiella pneumoniaeは全体的には検出率は低かったが、1施設のみで集中して検出された月があった。VREとMDRAは、この期間にはどの医療機関からも検出されなかった。 また、モデル地域の医療施設での感染制御に関する問題点や医療施設の感染制御地域ネットワーク構築に対するニーズを把握するために、医療施設で感染制御に携わる看護師を対象にグループインタビューを行った。その結果、「薬剤耐性に対する看護師の意識が低く、危機感がない」、「看護師に他職種や患者・家族に教育できるほどの十分な知識や能力がない」、「他施設から入院を受け入れる時に、患者の保菌に関する情報や使用した抗菌薬等についての情報がない」、「知識不足のため、過剰な反応や偏見につながる可能性がある」、「相談システムがない」、「保健所には、実施可能なアドバイスができるような人材がいない」といった問題点や「看護師の観察によって早期発見につながることがある」といった現状が明らかになった。そして、看護師の耐性菌感染症に対する知識・意識を高めるような教育の必要性、認定看護師等を活用した相談システムの構築や実施可能なアドバイスができるような保健所の人材育成が求められており、どの医療施設も感染防御のネットワーク構築の必要性を感じ、ネットワークへの参加を希望していた。 次の研究として、保菌者または耐性菌が検出された患者の施設間移動の実態調査とモデル地区の保健所で捕らえている感染制御の問題点を明らかにするための調査に取り組んでいるところである。
|