2010 Fiscal Year Annual Research Report
重症救急患者の家族看護の実態調査および標準的家族看護モデルの開発
Project/Area Number |
20390553
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山勢 博彰 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90279357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山勢 善江 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 教授 (30279351)
立野 淳子 山口大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (90403667)
田戸 朝美 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30452642)
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Keywords | 重篤・救急看護学 / 家族ニーズ / 家族看護 |
Research Abstract |
重症・救急患者家族の看護実践についての実態と、看護実践をする上での看護師の抱く課題について全国的な規模で明らかにすることを目的とし、全国の救命救急センターまたは集中治療室に勤務する調査協力に同意が得られた救急看護認定看護師、重症集中ケア認定看護師を対象に、行っている家族看護実践と実践上の課題を質問紙による郵送調査によって実施した。Marrilynによる重症患者家族援助プログラム(The Critical care family Assistance Program)を参考に、直接的看護実践と間接的看護実践の項目で整理した。その結果、413名の認定看護師からデータが得られた。直接的看護実践全体の平均値は4.06ポイント、間接的看護実践全体の平均値は3.52ポイントであった。看護実践の中では「信頼と希望をもたらす援助」が最も実践されていた。さらに、重症・救急患者家族の看護実践上の課題を項目ごとに分類した結果、18のカテゴリーを抽出した。そのカテゴリーは「難しい家族への対応」「信頼関係の構築が困難」「施設内のハード面」などであった。これらの結果から、重症・救急患者家族の看護実践では、「信頼と希望をもたらす援助」の実践を重要視した家族看護ケアが必要であることがわかった。また、看護実践上の課題として直接的看護実践では、問題を抱えている家族への対応や家族との信頼関係の構築が困難である事、間接的看護実践では、家族の休息や仮眠の場所の確保など施設内のハード面が困難であることが示唆されたため、これらを改善できる家族看護ケアを組み入れる必要があることがわかった。 家族看護モデルについては、昨年作成したものをさらに危機理論を取り入れて改良した。危機理論として、アギュララの危機モデルを採用し、家族アセスメントの視点として3つのバランス保持要因((1)ストレスとなる出来事の知覚、(2)社会的支持、(3)対処機制)を設定し、それぞれの側面で家族の心理・社会的状況をアセスメントする枠組みとした。これを基に、「アギュララのモデルによるクリティカルな患者の家族に対する標準看護計画」を作成し、実際の家族への実践評価をした。実践における看護計画は、観察プラン、ケアプラン、指導プランの3つで構成され、それぞれに出来事の知覚、社会的支持、対処機制に分けている。実施した結果は、アセスメントの視点がわかりやすくなっていること、問題志向モデルなので看護過程とマッチすること、問題点が明確になること、バランス保持要因の強化と促進という看護介入の視点で家族看護の焦点が明確になること、具体的な臨床実践が可能ななること、問題解決ができたかどうかを評価しやすいこと、などの結果を得ることができた。
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