2011 Fiscal Year Annual Research Report
がんサバイバーの身体活力回復プログラムの構築と評価研究
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20390558
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
外崎 明子 独立行政法人国立国際医療研究センター, 成人看護学, 教授 (20317621)
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Keywords | がん / リハビリテーション / 身体活動量 / 歩数 / 倦怠感 / 身体組成 |
Research Abstract |
1.乳がん化学療法を受けた31名を対象に化学療法終了後2日から2週間の日常生活活動量と倦怠感を測定した。この結果平均歩数は約3,800歩、活動強度は2Mets未満(座って作業)の時間が総活動時間の7割を占め、3Mets以上の(平均4.0km/時で歩行)の活動時間は平均約20分/日だった。以上より対象は治療クールの合間、座りがちな生活スタイルであり、治療全期間(平均4~6ヶ月)にこのような不活動状態が継続することは体重増加や筋力低下をもたらすことが予測された。米国の先行研究では乳がん化学療法後の身体不活動や体重増加は予後不良のリスクファクターであることが明らかにされており、わが国でも身体活動量増加支援の必要性が高いことが明確となった。 2.日常生活活動量促進支援群と非支援群の2群をおき、対象者は身体活動量計を17週間装着し、日々の歩数、活動強度別活動時間(分)等のデータを得る。促進支援群には抗がん剤投与後13日目以降をめどに1日5,000歩以上のとなるよう活動量を増やす努力を促し、さらにスポーツ・インストラクターによる筋力トレーニング法のセッションを提供し、活動量維持の動機づけを高める支援を提供する。非支援群では通常の療養支援と身体活動量計測を行う。支援プログラムの提供の有無が身体活動量、身体組成(筋蛋白量)、下肢筋力、抑うつなどの気分状態に及ぼす影響を2群間比較で検証する研究計画書について、現在、研究倫理審査委員会審議中である。 3.研究成果の誌上およびシンポジウム発表:造血幹細胞移植を受けた患者の退院後2ヶ月までの下肢筋力、歩数との関連性を誌上発表し、さらにこの結果および乳がん患者での身体活動量計を用いた活動量データを国際乳がん会議(Global Breast Cancer Conference 2011)(韓国、ソウル)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
介入の効果検証研究については倫理審査委員会を通過後、データ収集を開始し、年度内には必要例数が確保できる見込みであり、研究成果を出すことが可能と予測できるため。またパイロット・スタディである31名の化学療法後の患者の身体活動量の評価研究は、今年度内に誌上発表の可能性が高く、研究年度終了までに本研究課題により複数の研究成果の報告が可能であるから。
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Strategy for Future Research Activity |
日常生活活動量促進支援プログラムの効果検証研究に関する研究成果を国内外に報告し、わが国の乳がん化学療法中の患者の健康度を高める看護支援方策を具体的に示していく。 また乳がん治療は化学療法のみならず、ホルモン療法なども含め多様性に富み長期に及ぶため、さまざま治療法に対して患者がセルフマネジメント能力を高めるような看護支援方法の開発とすることが必須である。このためには電子通信技術なども活用した遠隔医療も可能となるような学際的なアプローチを用いた研究テーマにしていくことが、この研究期間終了後の次の研究課題として求められている。
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Research Products
(3 results)