2009 Fiscal Year Annual Research Report
要介護高齢者の予後と在宅継続に関連する族の役割に関する縦断研究
Project/Area Number |
20390570
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 美樹子 Osaka University, 医学系研究科, 准教授 (80294099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三上 洋 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80173996)
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Keywords | 要介護高齢者 / 在宅介護 / 家族介護 / 縦断調査 |
Research Abstract |
平成21年度は、地域在住要介護高齢者の2006年~2008年における要介護予後と介護者側要因の検討を行った。従来、要介護度の変化は2時点で捉えられ,多時点で捉えた研究においても対象者の選定方法やデータの定義の仕方など方法論的な限界があった.東大阪市の高齢介護課より提供を受けた連結可能匿名データを用いて、2006年の制度改正以後の要介護度変化を多時点で評価した。分析は、2006年4月以降に連続して12カ月以上認定を受けた要支援1~要介護2の65歳以上高齢者522人を対象とした.要介護度の変化は「維持・改善」15.1%,「改善と悪化」27.0%,「悪化」57.9%で性差はなかった.以上より、悪化方向の変化を示したのが85%にものぼるが、しかし、また一方で4割は「改善」の方向への変化を示しており、在宅介護継続うえで、要介護度の変化を見越した対応や変化に対応する力量の必要性が示された。 また家族介護者については、夜間ケアや、介護経験が与える心理的well-beingへの影響、世帯構成別のサービス利用傾向、介護ストレス対処について分析を行い、成果を報告した。特に、介護ストレスへの対処方略としての「介護役割の積極的受容」は、低くない割合で採用されており、また「介護役割の積極的受容」自体は、介護者の心理的well-beingには関係がないことを明らかにした。また縦断的分析の結果、配偶者では性に関係なく、介護肯定感が高まった結果として「介護役割の積極的受容」が採用されやすくなることを明らかにした。 そこで、家族介護者の多様性を踏まえて、介護役割の積極的受容型対処を採用する背景や介護者自身による意味付けの過程を明らかにする事を目的に、平成21年12月から東大阪市内の複数の居宅介護支援事業所の協力を得て家族介護者(夫、息子、妻、娘、息子の妻)計10名と在宅生活継続要因の比較対象として独居の要介護高齢者6名に訪問面接調査を実施した。データの分析とまとめは次年度に継続して行う。
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