2010 Fiscal Year Annual Research Report
要介護高齢者の予後と在宅継続に関連する家族の役割に関する縦断研究
Project/Area Number |
20390570
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 美樹子 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (80294099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三上 洋 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80173996)
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Keywords | 要介護高齢者 / 在宅介護 / 家族介護 |
Research Abstract |
東大阪市において2006年の介護保険改正当時、介護サービスを利用して在宅で生活していた要介護高齢者の3年後の2008年時点の要介護予後について、褥瘡有病率と認知機能面の予後について評価した。 褥瘡有病率は在宅介護の質評価の一端を示すものとして捕らえた。東大阪市在住で居宅介護サービス利用実績のある要介護者3808名に対し、自記式調査票を郵送にて配布し回収した(2008年11月、回収数2035名、回収率53.4%)。分析対象は有効回答者1641名で、全体(n=1641)の平均年齢は要介護者81.6±7.4歳、介護者64.2±12.1歳で、褥瘡有症率は5.7%であった。褥瘡有症者(n=94)を介護度別にみた内訳では要介護3が最も多く24名(25.5%)、次いで要介護5が23名(24.5%)であった。居宅介護サービス利用者においては、褥瘡有症者の中でも介護度2や3の比較的介護度の低い要介護者が最も数が多かった。また認知機能については軽度認知障害を呈していた在宅高齢者は、2年後に45.3%が悪化していたが、認知障害なしとされた在宅高齢者は83.6%がその状態を維持できていた。 家族介護者については、在宅介護を継続していた介護肯定感は16点満点中の平均で10点以上を示し全体的に高かった。介護肯定感は、性別,年齢,介護期間,続柄とは関連がなかった。その一方で介護継続者の介護満足感、生きがい感は経年的に低下し、介護負担感は上昇した。縦断調査の分析結果として、介護肯定感が高まった結果として「介護役割の積極的受容」対処がとられやすくなることを示したが、面接調査では、業務的で時間に追われる介護サービスや施設サービスを否定して、自分たちが提供する介護の質をよいと考えていることが継続理由として説明されていた。
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