2008 Fiscal Year Annual Research Report
南太平洋,クック諸島の完新世海面変化と海岸環境変化に関する研究
Project/Area Number |
20401004
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
森脇 広 Kagoshima University, 法文学部, 教授 (70200459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 充 福岡大学, 理学部, 准教授 (50309887)
河合 渓 鹿児島大学, 多島圏研究センター, 准教授 (60332897)
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Keywords | 南太平洋 / クック諸島 / ラロトンガ島 / 完新世 / 海岸平野 / サンゴ礁 / 海岸環境変化 / 海面変化 |
Research Abstract |
1.ラロトンガ島の更新世離水サンゴ礁の分布する北岸と東岸において,完新世離水サンゴの調査を行った.この調査において,これまで報告された更新世の離水サンゴに付着した完新世サンゴは更新世サンゴの巨礫に付着したものであることが確認された.その結果,完新世の確実な高海面は依然として見いだされないことが明らかとなった.北岸から東岸に散在する巨礫に付着した完新世サンゴに関してこれまで報告された年代からみて,これらの巨礫が特定の時期に生じた津波などのカタストロフィックな作用に由来する可能性が示唆された。これらの巨礫が津波堆積物に由来する可能性を考慮すると,これらの巨礫に付着した完新世サンゴの年代を数多く集積し,巨礫群の堆積年代と由来を求めることの必要性が明らかとなった. 2.後期完新世の海面変化と浜堤列平野の形成の解明を行うために,浜堤列平野域において全島に渡って32本の地形断面の測量を行った.浜堤列は幅の狭い北東岸で標高が大きく,最大6mに達し,主にサンゴ礫からなっていることが明らかとなった.他の海岸では平均して標高3mから4mほどである.広い礁原を持つ南岸の浜堤は主に砂からなっている。これらの各地形断面線沿いに,簡易ボーリングとシャベルによる掘削を行い,貝・サンゴ片の^<14>C年代測定試料を採取した 3.詳細な海底地形図を入手した結果,裾礁の縁辺に沈水礁原とみられる海底平坦面を見いだした.全島に及ぶ32本の断面線について,浜堤列平野・礁原・海底平坦面の幅を計測した結果,次のような特徴を見いだした.現成の礁原の幅は,東岸から北岸にかけて平均117mと狭く,南岸で平均685mと広いが,浜堤列平野の幅は東岸から北岸にかけては481mとなり,南岸では313mと狭く,礁原の幅とは逆の対応をしており,浜堤列平野・サンゴ礁・海底平坦面の全体の幅は全島に渡ってあまり変化しないことが明らかとなった.浜堤列平野が東岸から北岸域で広く形成されたのは,方位的・地形的に東岸域から北岸域の完新世の礁原上に砂礫が堆積しやすい海岸環境であったことによることが明らかとなった.
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