2009 Fiscal Year Annual Research Report
南太平洋,クック諸島の完新世海面変化と海岸環境変化に関する研究
Project/Area Number |
20401004
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
森脇 広 Kagoshima University, 法文学部, 教授 (70200459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 充 福岡大学, 理学部, 准教授 (50309887)
河合 渓 鹿児島大学, 多島圏研究センター, 准教授 (60332897)
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Keywords | 南太平洋 / クック諸島 / ラロトンガ島 / アイツタキ島 / 海岸低地 / 地形 / サンゴ礁 / 形成史 |
Research Abstract |
1. ラロトンガ島のいくつかの海岸域に分布するサンゴ巨礫の由来について,前年の調査との比較や聞き取りから,サイクロン時の大波によりもたらされたものであることが明らかとなった. 2. アイツタキ島において,海岸低地形成の基本資料を得るために,測量機器により地形断面図を作成した.西岸では海岸低地が段丘化しているところが見られるが,南岸や東岸では,顕著な段丘化は認められない.こうした違いは,隆起の違いというよりも,西岸はバリアリーフの発達が悪いのに対し,南岸や東岸はバリアリーフが発達し,広いラグーン域に面した海岸であることによる侵食の違いによるものである考えられる.島の北岸において,離水マイクロアトール群を見いだした.それらは少なくとも次の2段の水準にある.(1)それは低潮位時には離水しているが,高潮位時にはほぼ水没する.(2)高潮位面から完全に離水している.精度のよい測量機器を使ってこれらの地形の断面図を作成した.現在これらのサンゴを年代測定中であり,その高度と年代の結果は完新世海面変化の研究に重要な資料となろう. 3. ラロトンガ島において,海進の及んだ範囲と高さ及び時期を明らかにするために,最内陸の主要な後背湿地の発達する場所で,ピートサンプラーによる掘削を行った.全体的に腐泥からなり,泥炭などの湿地堆積物は少なく,その深度も浅いことが判明した.一般的に背後の最終間氷期の離水扇状地性海岸平野が海岸側において明瞭な海食崖を持っていないところが多いことと合わせて考えると,完新世海進頂期において,海進が内陸側の離水更新世扇状地に及ぶ前に浜堤が形成され,これによって海進が阻まれたために,海岸低地背後に連続して分布する最内陸の湿地には海進が及ばなかったと考えられ,日本列島や南西諸島では一般にみられない発達過程が明らかとなった. 4. 現生の巻貝の殻色と生息環境の関係について調査した.
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