2011 Fiscal Year Annual Research Report
中国・ASEAN地域協力構想におけるベトナムの定位に関する研究
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20401006
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
栗原 浩英 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (30195557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 明 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 名誉教授 (10012460)
白石 昌也 早稲田大学, 大学院・アジア太平洋研究科, 教授 (70127330)
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Keywords | ベトナム / 中国 / ASEAN / 地域協力 / 経済回廊 |
Research Abstract |
本年度はハノイ(7月,8月,12月),ハザン(8月),広州(7月),南寧(7月,12月)においてそれぞれ調査研究を行った結果,次のような成果が得られた。1.ベトナム・中国間で各種車両の陸上越境通行は基本的に実現していないが,唯一,ハザン省と文山自治州(雲南)との間,すなわち地方政府間で実施されていることを確認した。2.南寧・ザラム(ハノイ近郊)間の直通列車に搭乗したところ,ドンダン駅(ベトナム)での手続き時間短縮により,以前に比べ所要時間は短縮されているものの,二回廊実現に際しての大きな問題(中国国鉄単独による車両・乗員の提供及び国境における車外での二回の手荷物検査)は依然として解消されていないことがわかった。3.広西では前自治区党委員会書記が提起した「一軸二翼」がアピールされることはほとんどなくなったが,その骨子は「南寧・シンガポール経済回廊」や「北部湾経済協力」等の形で個別に継続されている。これに対しベトナム側は「一軸二翼」が放棄されたとはみておらず,首相の指示の下に対応に向けた研究を続けている。4.両国国境地帯では非軍事化が進んでいるが,ベトナム国防省は「国防経済区」という概念の下に,中国との国境地帯にあるいくつかの戦略的な要衝と位置づけられる地域の発展と近代化に直接関与しており,これは安全保障の新たな形態であるとみなすことができる。 また,2012年2月にはハノイで国際ワークショップ「新たなバックグラウンドの下でのベトナム・中国二回廊一経済圏」を開催し,「二回廊一経済圏」の問題点や展望を議論した。ベトナム側からは,「二回廊一経済圏」のこれ以上の進展は望めないというという意見がある一方で,法制化やメカニズム構築の必要性,環境問題や文化などの新しい問題にも目を向ける必要性も提起された。
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Research Products
(8 results)