2010 Fiscal Year Annual Research Report
ドバイで働くフィリピン女性のアイデンティティの再編―キリスト教徒とムスリムの比較
Project/Area Number |
20401007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
細田 尚美 香川大学, インターナショナルオフィス, 講師 (70452290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
アビレナス PN 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (60314267)
石井 正子 大阪大学, グローバルコラボレーションセンター, 特任准教授 (40353453)
渡邉 暁子 東洋大学, 社会学部, 助教 (70553684)
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Keywords | 国際労働力移動 / 中東・湾岸地域 / 外国人労働者 / 民族間関係 / フィリピン / アラブ首長国連邦 / 移民 / グローバル化 |
Research Abstract |
本年度は、本研究課題の最終年度として、研究代表者、分担者、協力者が各自収集してきたデータの分析を行い、全体としての研究枠組みを再検討し、その結果を国内外で公表した。 具体的には、6月の本年度第1回研究会において、上記研究メンバーの間でデータ分析の結果を報告し、7月と9月の第2、第3回研究会においては研究枠組みの再検討と全体の議論の整理と考察を行った。その結果、ドバイでは職場や公共空間などにおけるフィリピン人同士の日常的な交流活動を通じてフィリピン人としてのアイデンティティが強まる傾向がみられる一方、階層や宗教が異なる場合は交流の機会が極めて限定的であることが明らかになった。さらに、他の国籍の外国人労働者との交流は全体としては少ないが、建設労働者や家事労働者などの間では連帯する意識もみられ、宗教施設や学校を通じた交流の空間も存在していることを示した。 以上の成果を湾岸研究国際学会(英国エクセタ大学)で発表したところ、フィリピン語やアラビア語を駆使し、湾岸の最も積極的な受け入れ国(UAE)においてアジアの最も積極的な送り出し国(フィリピン)からの労働者の生きる空間を、階層や宗教といった差異を考慮しながら、本人たちの主体性も視野に入れて描いた貴重な研究であるとして国外の湾岸地域研究者から高い評価を得た。さらに、3年間の研究成果を当事者らも含めた国際社会全体に向けて公表することを目的に、3月3日に本研究課題の研究対象国であるUAEの首都アブダビにて国際ワークショップを開催し、同国在住の中東、インド、フィリピン出身の研究者、政府関係者、フィリピン人団体代表者の前で発表し評価を受けたとともに、今後の研究課題を討論した。 本ワークショップの研究発表ならびに討論の内容、本研究課題の実績一覧、他の参加者からの寄稿文は「ドバイ移民社会研究会調査研究報告書」として3月末に出版した。
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Research Products
(14 results)