2011 Fiscal Year Annual Research Report
インドシナ地域での社会的弱者層を取りまく緩慢なるハザードの実態と地域復元力の解明
Project/Area Number |
20401008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 正美 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (50109021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 昌三 京都大学, 農学研究科, 教授 (50211959)
田中 樹 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (10231408)
ショウ ラジブ 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (30378848)
小林 広英 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (70346097)
水野 啓 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (10260613)
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Keywords | インドシナ地域 / 緩慢なるハザード / 地域復元力 / 社会的弱者層 / 地域支援 / 生業多様化 |
Research Abstract |
最終年度にあたる平成23年度は、ベトナム中部における村落調査と国内外での成果発表を積極的に行なった。 1)ベトナム中部における社会的弱者層とそれを取り巻く問題構造の解明:ベトナム中部フエ市の水上生活民再定住地域では、防災を一義的な理由として実施された再定住化政策により暮らしと生業の場を分断されたことから慢性的な貧困に直面している状況が明らかになった。経済的貧困は、次世代の教育や就業を困難にし、いわゆる「貧困の連鎖」が起こっていることが確認された。行政機関や援助団体による支援は、「識字教育」など対症措置にとどまり、問題の根本に向き合う取り組みが不十分であることが分かった。 2)自然災害に対する地域社会および世帯レベルでの対処行動と災害レジリアンスの変化:ベトナム中部トゥアティエンフエ省ホンチャ県のラグーン周辺村落において地域住民への被災経験と防災意識や地域社会や地方自治体による取り組みなどに関する聞き取り、家屋の現場計測を行ない、防災面における地域復元力を評価した。経済開放政策(ドイモイ、1986~)以降、治山治水ダムなどの社会インフラの整備が進み洪水への脆弱性は低くなっている。加えて、特に2000年代に入ってからの経済成長にともない、1999年の大洪水の経験から個人家屋の建て替えによる地盤のかさ上げや2階建て建築が行なわれるようになった。ベトナム中部では地域社会の相互扶助関係が維持されており、季節的な洪水や自然災害への備えができていることがわかった。 3)研究成果の社会実装:本研究チームがフエ農林大学とともに提案したJICA草の根パートナー型技術協力事業「ベトナム中部・自然災害常襲地のコミュニティと災害弱者層への総合的支援(平成22年10月~平成25年9月)」が採択され、生業多様化支援を軸とするその活動は順調に推移している。 4)研究成果の公表:本研究のメンバーにより、学術誌への論文投稿や学会での講演などを積極的た行なった。フエ農林大学(ベトナム)、ダナン工科大学(ベトナム)、チャンパサック大学(ラオス)、王立農業大学(カンボジア)および京都大学の教員と学生によるインドシナ地域中部をめぐる国際スタディーツアー(2012年2月下旬~3月上旬)と「第3回インドシナ地域大学連携シンポジウム(シェムリアップ市、3月9日)」を行なった。
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Research Products
(18 results)