2011 Fiscal Year Annual Research Report
「大国」と少数民族―東南アジア大陸部山地における中国ヘゲモニー論を超えて
Project/Area Number |
20401009
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
落合 雪野 鹿児島大学, 総合研究博物館, 准教授 (50347077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白川 千尋 国立民族学博物館, 先端人類学研究部, 准教授 (60319994)
松田 正彦 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (60434693)
柳澤 雅之 京都大学, 地域研究統合情報センター, 准教授 (80314269)
横山 智 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (30363518)
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Keywords | 国際研究者交流 / ミャンマー・ラオス・ベトナム / 国境 / 少数民族 / 生業活動 / 生活文化 / 東南アジア地域研究 / 文化人類学 |
Research Abstract |
平成23年度は、過去3年間の研究成果を補完するための調査を実施し、以下の成果を得た。 I国境拠点における生業活動調査 (1)ミャンマーでは、ヤンゴン市とネピドー市で、これまでの調査結果を現地カウンターパートらと共有しながら補足情報の収集をおこない、少数民族の生業活動のなかに中国や中央政府と対峙するための戦略を見出した。 (2)ラオスでは、ポンサーリー県で、中国企業との農産物契約栽培に関する調査を実施し、住民による作付け品目の選択や土地利用の状況について情報を収集し、中国の市場動向に柔軟に対応することの困難さについて明らかにした。 (3)ベトナムでは、ライチャウ省フォントー県で、国境地域における資源利用と商品流通について調査をおこない、定期市で売買される商品のうち、地元の農産物や森林産物と外部で生産された雑貨や工業品の組み合わせや量が、中越両国の政治的経済的関係によって変化してきたことを検討した。 II健康管理と生活文化の通地域的調査 (1)蚊帳などの医療用品に関しては、ラオス北部での調査の結果、外来の近代的製品の使用が一般化しており、とくにタイ製品の割合が大きいこと、その反面中国製品の割合が少なく、この地域における中国の政治的経済的影響力の大きさを反映していないこと、さらに使い方において旧来のものとの持続性が認められることなどが明らかになった。 (2)テキスタイル製作の変容については、ラオス北部での調査の結果、ミャンマーや中国とは異なり、伝統的な織布生産に対する一定の需要が認められること、その背景に業者の介入などの外的要因とともに使用者の愛着などの内的要因も見られることを確認した。 さらに、研究全体を総括するため、現地調査で収集した情報や資料を詳細に比較検討するとともに、関連分野の研究者とも協議をおこない、成果公表に向けた準備をすすめた。
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Research Products
(10 results)