2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20401020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 雅之 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (30313159)
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Keywords | 土話・平話 / 漢語(粤語:客家語) / 勉語 / 壮語 / 物質文化 / 中国湖南:広東:広西 / 江華謡族自治県:江永県 / 漢族:謡族:壮族 |
Research Abstract |
初年度である平成20年度は,調査団を組んで江華謡族自治県にて2回の現地調査を行った(第1回:2008年9月吉川・朱・ラマール・広瀬が従事,第2回:2003年3月吉川・朱・ダニエルス・田口・溝口が従事)。この中で言語調査は,(1)当県の言語分布,(2)各言語の基本的特徴,を調べることに主眼を置いた。そして第2回現地調査では,県南部の山間部と盆地部に滞在し,それぞれの同一世帯を対象として言語と建築,歴史の調査を同時並行的に行った。調査の結果明らかになったのは次の諸点である。 (1)先行研究には一切記されていない言語の存在が複数明らかになった。その中で2種類は系統不明な言語であり,平成21年度での継続調査を必要とする。 (2)先行研究では粗雑な記述しか為されていない言語分布に関して,村のレベルまで明らかにすることができた。 (3)当県に広く分布する土話の一種である梧州話について,濤墟鎮,湘江郷と大墟鎮との間に音韻面と語彙面で明らかな差異が存在することが確認された。 (4)先行文献により江華県の勉語には湘江土語(代表地点:湘江郷)と広土語(代表地点:両盆河郷)という2つの下位方言群が存在することが分っていたが,両者の中間地域についての状況が明らかになった。 研究成果の発表としては,吉川が日本中国語学会第58回全国大会(2008年10月26日)とThe 13th InternationalConference on Cantonese & Yue Dialects(2008年12月19日)で口頭発表を行った。後者に関しては学術誌に投稿中である。これらは土話・平話との系統的関連性が学界で議論となっている粤語(広東語)についてより早期の姿を明らかにすることが土話・平話との系統性を論じる上で有益であるという見地から,従来最古の霧語資料と信じられてきたロバート・モリソンの資料よりも古い資料を発掘し,その漢字音の体系と特徴や基礎方言を明らかにしたものである。
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Research Products
(3 results)