2011 Fiscal Year Annual Research Report
アジア・ヨーロッパにおける移住者と受け入れ住民の共通言語教育研究の構築
Project/Area Number |
20401024
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
松岡 洋子 岩手大学, 国際交流センター, 准教授 (60344628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 祐子 新潟大学, 国際センター, 准教授 (00313552)
土屋 千尋 帝京大学, 文学部, 教授 (00242389)
西山 教行 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (30313498)
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Keywords | 共通言語教育 / 多文化社会 / 複言語複文化 / 社会統合 / コミュニケーション / 言語教育施策 / 国際研究者交流 / ドイツ:フランス:韓国:台湾 |
Research Abstract |
平成23年度は、これまでの海外調査を整理して学会等で発表し、また総括として国際研研究集会(於:京都大学)を開催し、共通言語構築のための複数の国の研究者・実践者との研究情報交換を行った。その結果、以下のような情報整理および提言が行われた。 1)最近、研究対象各国移住者に対して言語能力の習得を求める傾向が強まっている。その尺度として各国で使用されるようになったヨーロッパ共通言語参照枠(CEFR)は、移住者の選別、排斥の道具として機能する側面が現れている。しかし、本来CEFRは複言語主義の理念を実現するためのものであり、このような使われ方はその理念に反する。移住者の言語能力を個別の背景に適した方法、枠組みを設定し測定する方法構築が必要である。 2)異文化能力とは双方向の変化によって醸成されるものである。従って、移住者を受け入れた社会全体を対象とした教育システムが求められる。例えば、言語教育の分野では言語を別々に教育して孤立化を招くのではなく、複数の言語を同時に学習することで複言語複文化に対する価値ある気づきを促すという教育方法が有効である。 3)移住者の言語統合は人権と統合のバランスが重要である。例えば、外国人なまりや誤用等について受入社会が寛容性を持つことは移民の権利として認められてもよい。これらの考え方を理解した上で、移住者と受け入れ社会の共通言語の構築に資する教育を行う必要がある。すなわち、移住者はその背景、ニーズに合わせて教授方法を対応させることができる教育およびその実践者の教師養成を急ぐべきである。また、受け入れ社会に対しては、移住者とのコミュニケーションの特徴を理解し、言語調整や複言語コミュニケーション能力を高める教育を行うべきである。 4)
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