2008 Fiscal Year Annual Research Report
先端技術を用いた中国内蒙古・新疆北部における漢魏都城・陵墓の総合的研究
Project/Area Number |
20401037
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Research Institution | University of East Asia |
Principal Investigator |
黄 暁芬 University of East Asia, 人間科学部, 客員教授 (20330722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇野 隆夫 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (70115799)
吉井 秀夫 京都大学, 文学部, 准教授 (90252410)
河野 一隆 九州国立博物館, 学芸部, 資料室長 (10416555)
上原 雅文 東亜大学, 人間科学部, 教授 (30330723)
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Keywords | 秦の始皇帝 / 匈奴・北方騎馬民族 / 秦直道 / 舖装道路 / 都市と墳墓 / 方位と景観 / 北方位重視 / GPS調査・GIS解析 |
Research Abstract |
平成20年度の本研究は課題計画のとおり、まず、日中連携調査でGPS・GISを用いた秦直道遺跡の踏査、また、始皇帝の長男扶蘇、大将軍蒙恬墓、戦国〜漢魏時代の都市(内蒙古包頭麻池古城、オルドス市東勝城址、陝西省楡林白城子、大夏統万城)の遺跡調査を実施した。さらに、衛星画像の利用とGIS解析によって、長い間幻の秦直道の実態が判明しつつある。 秦直道は2200年前、秦の始皇帝より創設された国家プロジェクトの1つ、秦漢皇帝の天下巡幸の御輿や随従の車列はみな直道を走行し、北方を脅かす匈奴との攻防戦を繰り広げた舞台として様々な車騎も直道を行き来したこと、司馬遷『史記』の記述によって理解ができるが、その実態は長い間、不明のままであった。本調査は従来の調査成果をもとに秦直道全ルートを通してGPS調査と現場検証を行った結果、現在の陝西省と内蒙古自治区にまたがる南北の幹線道路で全長約700キロに及ぶ。山の尾根線上に沿って造られた部分が多く、現代の高速道建設の発想と同じく、地理条件の許す限りまっすぐに、幅の広い道路(一般30m最大幅50m余り)を求めて大規模な車列を最短距離に進ませるように実用性とともに快適さと美観にも追求された。これら明らかにした新事実は長い間、幻だった秦直道を確実に甦らせるようになってきている。 一方、比較研究の視点をもって秦直道の建設時とほぼ同時期のローマ古道のフィールド調査を実施し東、西洋の道路文化の異同を探索している。これまで、中国古代史、考古学分野には、古代道路の調査と研究はかなり遅れており、本研究における秦直道の調査は1つ未開拓の領域に踏み入って実証的研究を展開している。本調査の成果発表について、日本と中国にて歴史・考古学会での口頭発表、新聞公表(毎日新聞2009.4.1夕刊「文化」欄)のほか、学術論文の執筆にも励んでいる。
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Research Products
(13 results)