2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヤッスホユック(トルコ共和国)の発掘調査-古代アナトリアの都市と交易路の解明
Project/Area Number |
20401038
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Research Institution | The Middle Eastern Culture Center in Japan |
Principal Investigator |
大村 正子 The Middle Eastern Culture Center in Japan, アナトリア考古学研究所, 研究員 (80370196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 幸弘 (財)中近東文化センター, アナトリア考古学研究所, 所長 (10260142)
松村 公仁 (財)中近東文化センター, アナトリア考古学研究所, 研究員 (60370194)
奥村 晃史 広島大学, 文学部, 教授 (10291478)
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Keywords | 考古学 / アナトリア / ヤッスホユック / 都市 / 交易路 / トルコ |
Research Abstract |
トルコ共和国のヤッスホユック遺跡における発掘調査は,前3千年紀末から前1千年紀にかけての中央アナトリアにおける一つの都市の構造を解明するとともに、メソポタミアに繋がる古代アナトリアの都市間交易を考古学的に実証しようとするものである。 2009年度は、2007年の磁気探査により大遺構の存在が推察された遺跡頂上中央部に於いて本格的発掘調査を開始した。10×10mの発掘区を2個設定し行なった発掘調査では、四つの建築層を検出した。出土遺物から、第1、第2、第3建築層は後期鉄器時代に年代付けることができた。後期鉄器時代の第3建築層は、幅130cm余りの堅牢な石壁から成っているが、カマン・カレホユック第IIa層に平行することが明瞭である。この第3層の建物はその下の第4建築層の大火災層を均して建築されているため、その石壁の直下に漆喰塗りの日乾し煉瓦壁の上端の線を確認することができた。そしてその日乾煉瓦壁の線は、磁気探査結果と一致するものであった。時間的制約もあり、極めて限られた部分ではあったが、この第4建築層の年代推定の手がかりを得るための発掘を一部行なった。その結果、かなり保存状態の良い、230cm余りの高さで漆喰塗りの日乾し煉瓦壁が残存していること、床面には独特の形式の可動式の炉等が原位置で発見された。そして出土遺物等から、この遺構が2千年紀前半のものであることが確実となった。すなわち、磁気探査で検出された大遺構は、第4建築層の大火災層の中に見出される日乾し煉瓦による建造物であり、前2千年紀前半(おそらくは第1四半期)の遺構であることを確認することができた。磁気探査結果から見られる遺構の形態、規模から考えて、アッシリア商業植民地時代の都市の王宮址である可能性が高い。発掘作業終了後、次シーズンにより良い形で保存処理を施し取り上げを行なうこととし、炉、大形の炭化木材等は保護フィルム等で覆い、発掘区全体には保護屋根を架けた。
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Research Products
(7 results)