2010 Fiscal Year Annual Research Report
中央アナトリアにおけるハジュトゥール・ホユック遺跡の考古学的予備調査
Project/Area Number |
20401039
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Research Institution | The Middle Eastern Culture Center in Japan |
Principal Investigator |
山下 守 財団法人中近東文化センター, アナトリア考古学研究所, 研究員 (70370195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津村 宏臣 同志社大学, 文化情報学部, 講師 (40376934)
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Keywords | 考古学 / トルコ / 中央アナトリア / 鉄器時代 / フリュギア / 都市遺跡 |
Research Abstract |
平成22年度の中央アナトリアにおけるハジュトゥール・ホユック遺跡の考古学的予備調査では、以下の調査及び研究を行った。 (1)トルコ文化観光省考古局の調査許可の関係から遺跡の一部地域でしか実施出来なかった地中磁気探査の代替え調査として、平成22年8月に遺跡頂上部東側地域においてGPSとレーザー測距儀を用いて地表に露出した石壁群の測量調査を行い、同地域に残存する建築遺構のプランを解明した。 (2)平成22年9月と10月に遺跡頂上平坦部に散布する遺物を設定されたグリッド毎に採集した。形式分類と他遺跡との比較研究を通して表採遺物を年代決定することによって、遺跡にある遺構の存続年代を推定した。 (1)の測量調査からは、遺跡頂上部の東側縁で部分的に見られる巨大な城壁が、切り石を積み上げた両サイドの石列の間の空間に大小の礫を詰めた、フリュギアに典型的な石壁構造を有することが明らかになった。また頂上平坦部の東側地域には、北西-南東方向に軸を持ち、長さが100mを超す大規模な矩形の建築遺構が、幾つも連なる様に存在していることも確認された。これらの一部が地表に露出した地表直下の遺構群は、同一方向に方位を有し、同一の石壁構造を示すので、すべて同時期のものと考えられる。 このことから、この都市遺跡の公共的な大規模建築コンプレックスがこの東側地区に存在していた可能性の高いことが明らかになった。 (2)の表採遺物の年代研究からは、鉄器時代のハジュトゥール・ホユックは、おそらく前期鉄器時代(前11世紀-前10世紀)に居住が始まり、前期フリュギア時代(前9世紀)、中期フリュギア時代(前8世紀-前7世紀)、後期フリュギア時代(前6世紀-前4世紀)を通して継続した居住がなされたこと、またその間に都市規模がかなり拡大したことが明確になった。これに対し同遺跡におけるヘレニズム時代初頭以後の居住は確認されなかった。
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