2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20401044
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
平田 昌弘 Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine, 畜産学部, 准教授 (30396337)
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Keywords | 乳加工体系 / 乳文化圏 / 文化伝播・変遷フィルター / アーカイブ / 牧畜民 / 定住 / 冷涼性 / 暑熱性 / 起原 |
Research Abstract |
H21年度は、モンゴル中央部、トルコ南部、インド北部、ブルガリア南西部にわたって研究代表者ならびに連携研究者とで乳文化についての現地調査をおこなった。乳加工体系、乳製品利用、家畜管理技術についてインタビューと観察をおこなうと共に、乳文化に関連する一連の項目について写真もしくはビデオカメラで撮影し、画像としてのデータ蒐集に専念した。一部は、下で説明する乳文化デジタルデータに掲載・公開した。 調査研究の成果では特に、バルカン半島のブルガリアでの調査結果により、ブルガリアの発酵乳系列群は西アジア由来の乳加工技術である可能性が極めて高く、冷涼性ゆえに特有に変遷していることが明らかとなった。このバルカン半島の事例を通じて、「搾乳・乳加工の一元二極化論」仮説を検証できたことは、大きな成果である。 研究会では、連携研究者とそれぞれのテーマで個別に研究会をおこなった。三宅氏・本郷氏とは、乳利用の起原研究会を立ち上げ、考古学的遺物の有機物解析による方法論的可能性について検討した。稲村・本江氏とは、乳利用のある旧大陸と乳利用の無い新大陸の牧畜論考についての公開研究会に向けて、打合わせをおこなった。風戸氏とは、モンゴルにおける乳文化研究、および、アーカイブ構築に関しての研究会をおこなった。 乳文化デジタルデータでは、昨年度に立ち上げたアーカイブ「デジタルアーカイブ乳文化に関わる希少情報」に、インド・ラジャスタン州・グジャーラト州、ジャンムー・カシミール州のデータ(乳加工体系、乳食文化、景観・牧畜)を追加した。更に、データを追加していく際、システム上の不具合を修正し、より使い勝手の良いシステムへの改善に努力した。
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