2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20401044
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
平田 昌弘 国立大学法人帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (30396337)
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Keywords | 乳加工体系 / 乳文化圏 / 文化伝播・変遷フィルター / アーカイブ / 牧畜民 / 定住 / 冷涼性/暑熱性 / 起原 |
Research Abstract |
H22年度は、モンゴル中央部、バルカン半島のブルガリア、インド北部、新大陸のペルーにおいて研究代表者ならびに連携研究者とで乳文化についての現地調査をおこなった。乳加工体系、乳製品利用、家畜管理技術についてインタビューと観察をおこなうと共に、乳文化に関連する一連の項目について写真もしくはビデオカメラで撮影し、画像としてのデータ蒐集に専念した。 調査研究の成果では特に、バルカン半島のブルガリアの調査結果により、チーズ加工に利用されているレンネットはバルカン半島起原である可能性が高く、乾燥地帯の西アジア、湿潤地帯の西ヨーロッパを通じて熟成チーズの発達史についての仮説を提起した。また、乳利用のなかった新大陸において、ペルーの事例を通じて、技術(乳文化)の伝播には、「ジャガイモ・トウモロコシ中心食」「傾斜地での労働軽減性」「年中温和・半乾燥性」が深く関与しているものと考察した。 研究会では、連携研究者と共同して、「ミルクの有る牧畜vsミルクの無い牧畜」と題して、公開の研究会を開催した。ミルクの有る牧畜としては平田がユーラシア大陸の事例群を、ミルクの無い牧畜としては連携研究者の稲村が事例を報告し、生業構造、家畜群の管理、食料資源、生態環境などを比較検討し、牧畜においてのミルク利用の意義について検討した。連携研究者の三宅氏、本江氏、本郷氏、風戸氏には発表にたいするコメントを求め、議論を深めた。 乳文化デジタルデータでは、継続的に新しい情報を付加すると共に、このアーカイブを使用していくなかで、いくつかの問題点が浮かび上がってきた。これらの問題点としては、1)1つの県・州に事例が2つ以上共存している、2)1つの説明文に2つ以上の写真がある、3)写真はないが説明文だけは入れたいとうい3点であり、これらについて改良した。更に、バルカン半島からブルガリア南部・中央部、新大陸のペルー南部の乳加工についてのアーカイブを構築した。
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