2008 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにみるインドネシア・ベトナム女性移民の急増と家事介護労働者-花嫁間の推移
Project/Area Number |
20401047
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Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
奥島 美夏 Kanda University of International Studies, 付置研究所, 講師 (10337751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 美佐紀 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (80316819)
林 史樹 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (00364919)
服部 美奈 名古屋大学, 教育学研究科, 准教授 (30298442)
吉田 正紀 日本大学, 国際学部, 教授 (90287574)
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Keywords | インドネシア人 / ベトナム人 / 東アジア / 移住労働 / 国際結婚 / 家事・介護・看護 / 文化人類学 / 社会学 |
Research Abstract |
本年度は、送り出し国であるインドネシア・ベトナム国内の政策動向、および受け入れ諸国としてのシンガポール・韓国・日本における概況を中心に、各自が現地調査を進めた。 その結果、まず移住労働者の送り出し競争が激化し、また人身売買規制などの影響から管理も国際的に強化されるなかで、インドネシア・ベトナム両国ともインフォーマル部門の家事・介護労働者から、フォーマル部門の工場労働者・看護師・技師などの送出に重点を移しつつあり、また先人であるはずのインドネシアが急成長するベトナムを意識し、受入国・技能面での棲み分けをはかる努力をしていることもわかった。なお、看護・専門的介護分野では日本のEPA経由の受け入れも刺激となって、欧米・中東からの視察が頻繁になっていた。 国際結婚については、インドネシア-台湾間における事例と同様に、ベトナムでも都市近郊という市場経済の発達と地理的利便性、華人ネットワークが関係していた。韓国への花嫁流出も、従来の中国・ロシア系朝鮮人花嫁からベトナム人などへのシフトに、華人ネットワークを通じたリクルート方式が東アジア域内に定着・完成しつつあることをうかがわせる。 一方、受け入れ諸国においては、シンガポールにおけるインドネシア人労働者の最低賃金引き上げや公館付属シェルター設置、銀行送金制度の徹底などが、また韓国の雇用許可制を通じたフォーマル部門労働者の拡大と資格外就労者の掃討など、著しい労働条件の改善が進められている。だが、軟禁生活や通帳没収など旧来の弊害の根絶と、斡旋料の抑制・国籍による差別化の撤廃にはさらに別な泰作を考える必要もあると見受けられる。
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