2008 Fiscal Year Annual Research Report
新生殖技術の実用化に伴う親子・家族・婚姻関係の再編に関する国際比較
Project/Area Number |
20401049
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
上杉 富之 Seijo University, 文芸学部, 教授 (00250019)
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Keywords | 新生殖技術 / 生殖(補助)医療 / 親子・家族・結婚 / 社会・文化理論 / アメリカ / フィンランド / デンマーク / 国際養子 |
Research Abstract |
本研究は、新生殖技術(先端的生殖医療)の実用化に伴って近年急激に進行しつつある親子・家族・婚姻関係再編の実態を、生殖技術先進国であるアメリカやフィンランド、デンマーク及び韓国等における不妊治療従事者や不妊治療患者へのインタビュー等を通して明らかにすることを主要な目的とする。また、そうした再編の実態を視野に入れ、親子・家族・結婚に関する新たな社会・文化理論を構築し、提示することも試みている。研究初年度の平成20年度は、研究代表者と連携研究者がそれぞれに割り当てられた国において、以下のような調査研究を開始した。研究代表者の上杉富之は、アメリカ・サンフランシスコに拠点を置く日本人患者専門の不妊治療コーディネーター及び不妊治療カウンセラーを訪問してインタビュー調査を試み、アメリカ人代理母と日本人代理出産依頼者及び生まれた子の間に家族関係類似のある種の「親密な関係」が形成され、しかもそれが長期間持続していることを確認した。一方、連携研究者の石原理は、生殖医療に関する法改定が最近行われたフィンランドおよびデンマークを訪問し、生殖医療に従事する医師および生殖医療管理機構の担当者に面会しインタビューを行った。その結果、提供配偶子(卵子および精子)を必要とする治療について、提供者が非匿名化されたフィンランドと、匿名を維持するデンマークにおける利用者背景とその受療行動の差違を確認するとともに、生殖医療に対する公費負担の小さな差違が、受療行動に大きく影響する可能性を明らかにした。また、出口顯は、デンマークとフィンランドにおいて生殖医療そのものと、家族形成の際に生殖医療の代替手段となっている国際養子について、国際養子のアイデンティティや養取の仕組み等について調査研究を行った。
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