2009 Fiscal Year Annual Research Report
新生殖技術の実用化に伴う親子・家族・婚姻関係の再編に関する国際比較
Project/Area Number |
20401049
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
上杉 富之 Seijo University, 文芸学部, 教授 (00250019)
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Keywords | 新生殖技術 / 生殖(補助)医療 / 親子・家族・結婚 / 社会・文化理論 / 非欧米社会 / (国際)養子 / 北欧 / 韓国 |
Research Abstract |
本研究は、新生殖技術(先端的生殖医療)の実用化に伴って近年急激に進行しつつある親子・家族・婚姻関係等の再編の実態を、生殖技術先進国であるアメリカやフィンランド、デンマーク及び韓国等における不妊治療従事者や不妊治療患者へのインタビュー等を通して明らかにすることを主要な目的としている。また、そうした再編の実態を視野に入れ、親子・家族・結婚に関する新たな社会・文化理論を構築し、提示することも試みる。研究2年目の平成21(2009)年度は、研究代表者と連携研究者、研究協力者がそれぞれに割り振られた分担研究を遂行すべく、以下のような調査研究を実施した。研究代表者の上杉富之は、2006年に刊行されたCulture, Medicine and Psychiatry誌の生殖医療に関する特集号を元に、非欧米諸国における生殖医療の実態とその背景にある文化・社会的状況を紹介し、日本におけるこの種の実証的調査研究の著しい立ち遅れを指摘した。連携研究者の石原理(埼玉医科大学医学部教授)と出口顕(島根大学法文学部教授)は共にスウェーデンとデンマークで調査研究を実施し、当該国の生殖医療の導入並びに実施の状況を明らかにするとともに、生殖医療の代替手段として導入された国際養子縁組について、斡旋機関の関係者や国際養子を育てている養父母、さらには養子らにインタビュー調査を実施して関連情報を収集した。一方、研究協力者の中村八重(韓国外国語大学校日本語大学助教授)は、子を持つ方法として、近年、生殖医療に代わって特に増加傾向にある養子縁組に焦点を当てて調査研究を実施し、養子縁組の増加に伴い、韓国の伝統的かつ根本的な社会原理・儒教に根ざした父系血縁原理が徐々に揺らぎ始めていることを明らかにした。
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