2009 Fiscal Year Annual Research Report
韓国における歴史をめぐる政治-「解放3年史」を中心に
Project/Area Number |
20402014
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
出水 薫 Kyushu University, 大学院・法学研究院, 教授 (20294861)
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Keywords | 政治学 / 韓国 / 歴史の政治学 / 歴史観 / 解放3年史 / 正統性 / ニューライト |
Research Abstract |
1. 研究実績の概要 (1) 歴史教科書に関する調査 前年度にひき続き、歴史教科書の記述の変化について、インターネット上の教科書データベースを利用して調査した。解放3年史については、「ニュー・ライト」と呼ばれるグループの作成した新しい歴史教科書が、既存のものとは異なる見解を展開していることが判明した。 (2) 歴史見直しのための各種委員会の予備調査 3月に「真実と和解のための過去事整理委員会」に対する訪問調査をおこなった。調査2局のキム・ムヨン調査総括課長に聞き取り調査をおこなった。政権交代の影響は、委員会の幹部構成に変化をもたらしていることが判った。また同委員会の既刊の調査報告書を収集した。 (3) 世界政治学会への参加と情報交換 7月にチリで開催された世界政治学会に参加し、各種分科会で、情報交換をおこなった。民主化後の正統性をめぐる歴史再検討は、東ヨーロッパなどでも問題になっているということで、比較研究の可能性を確認できた。 2. 方針の転換にともなう実績の概要 (1) 昨年度までの調査によって、歴史教科書そのものの変化よりも、ノ・ムヒョン政権の下で進行した過去の見直し政策、およびそれと並行して台頭した「ニュー・ライト」が提起した歴史論争の分析が重要であるということが明らかになってきた。 (2) ニュー・ライトの首長を分析するため、その拠点的な雑誌である『時代精神』誌のバックナンバーの収集をおこない、分析に着手した。次年度は、ニュー・ライトの主張とそれをめぐる論争を中軸に調査をおこなう予定である。
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