2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本の人的資源と中国の再編・再生:戦後中国における日本人留用問題の総合的考察
Project/Area Number |
20402015
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
鹿 錫俊 Daito Bunka University, 国際関係学部, 教授 (20272784)
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Keywords | 政治学 / 国際関係 / 中国 / 日本 / 戦後処理 / 留用 |
Research Abstract |
1.今年度は本研究のスタートの年度として、まず元国民党政権支配地域を中心に実地調査に努めていた。基本的な調査を終えた地域レベルの資料機関は次のとおりである。(1)江蘇省:江蘇省档案館、南京市档案館、無錫市档案館、鎮江市档案館、徐州市档案館。(2)山東省:山東省档案館、煙台市档案館、芝罘区档案館、威海市档案館。(3)浙江省档案館。(4)天津市档案館。(5)上海市档案館。(6)台湾:国史館、中央研究院近代史研究所档案館。 2.以上の実地調査により、1945年8月の日中戦争終戦から1949年の国民政府崩壊まで、国民政府(=国民党政権)の支配地域における次のような問題について多くの一次資料を入手し、事例研究として解明できるようになったと考えられる。(1)江南地域の日本人収容所の運営。(2)日本人技術者の留用基準と採用された後の待遇。(3)留用された日本人の子女の教育とある日本人学校の経緯。(4)被留用者の帰国要求への対応。 3.実地調査と同時に、科研費による研究成果の社会への還元に心掛けた。なかでも、大学と大学院の教育にそれを取り入れるほか、NHK番組「葫蘆島への道旧満州引き揚げ・運命の岐路」の制作に尽力した。そのため、NHKの担当者や視聴者から肯定的な反響を受けた。 4.論文発表の面において、本課題の直接の成果はまだ作成の途中にあるが、間接の関連成果としては数本の雑誌論文(合計約9万字)を公表した(裏面の欄を参照)。また、実地調査およびシンポジウム出席などの機会を利用して、上記の諸地域の学者と学術交流を行い、研究目的の達成への人的ネットワークを一層強化した。
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