2008 Fiscal Year Annual Research Report
発展途上国における最適著作権保護の調査研究:経済学的視点から
Project/Area Number |
20402023
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
土門 晃二 Waseda University, 社会科学総合学術院, 教授 (00264995)
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Keywords | 経済学 / 著作権 / 違法コピー |
Research Abstract |
今年度は、中国、メキシコ、ベトナムで、研究連携者および海外研究協力者と伴に現地調査を実施した。中国では、放送局、レコード会社、政府の著作権管理局を訪問し、また、歌手にもインタビューを行った。所得上昇による違法コピーと正規版との代替関係や所得効果の推移、歌手とレコード会社の契約関係、政府の取締りの現状について調べた。さらに、携帯電話からのダウンロードによる収入が伸びていることが判明した。メキシコでは、中進国にも関わらずインフォーマル・セクターが大きな産業になっており、違法ビジネスに依存して生活している人々が多く、著作権侵害が単なる取締りだけの問題ではなく、一国の政治的体制そのものとも関係していることが明らかになった。政府も違法ビジネスを認めざるを得ず、この現象は貧富の差の大きい中南米特有の現象であることがわかった。ベトナムでは、音楽業界やジャーナリストとの意見交換を行い、依然として著作権侵害が多いこと、しかし、著作権管理団体ができ、少しずつではあるが、改善の兆しが見えてきたことが確認できた。 メキシコでは、現地の研究者との間でセミナーを開催し、著作権の最適保護レベルとメディア産業の発展についての研究発表を海外研究協力者と行った。また、ベトナムでもセミナーを開催し(一部現地新聞に記事が掲載されえている)、研究連携者、海外研究協力者がそれぞれ研究発表を行った。研究連携者は、中国での放送・音楽業界における違法コピーの動向について、また海外研究協力者は国際間の著作権保護の相違の影響について理論的な分析、研究代表者はアジア・南米地域における著作権侵害の現状について発表を行った。
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