2009 Fiscal Year Annual Research Report
発展途上国における最適著作権保護の調査研究:経済学的視点から
Project/Area Number |
20402023
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
土門 晃二 Waseda University, 社会科学総合学術院, 教授 (00264995)
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Keywords | 経済学 / 著作権 / 違法コピー |
Research Abstract |
今年度は、まず米国バークレーで学会発表を二つ行った。ひとつは、著作権保護期間の国際間における競争の理論モデルで、動的なゲームを用いてシュミレーション分析を行った。二つ目は、途上国のメディア産業の成熟度を考慮した場合に、違法コピーは音楽著作権者に有利に働くケースあることを理論モデルを用いて分析し、経済の成長段階に応じた著作権取り締まりのレベルについて考察した。 次に、メキシコで現地調査を行った。メキシコ・シティーでは、レコード会社、ミュージシャン、弁護士、および貧民街に住む住民にインタビューを行い、海賊版市場では詳細な市場調査を行った。また、地方都市での海賊版市場の調査、および貧富の格差の実情についての調査も併せて行った。これらの調査から、中南米特有の貧富の格差による達法ビジネスの現状が明らかになり、アジア諸国との対比を行う場合の問題点が浮き彫りになった。 第三に、タイで現地調査を行い、ベトナムでコンファレンスを開催した。タイでの調査では、依然として違法コピーが堂々と販売されている一方で、警察による取り締まりの強化が表面的には実施されていることが分かった。とくに、違法ビジネスソフトの取り締まりは、強化されている。音楽や映画のCD、DVDの海賊版は、地方都市で堂々と売られており、取り締まりは皆無である。海賊版についての意見は、歌手によって分かれており、彼らの収入はライブステージでCDの著作権からの収入はほとんどないことも判明した。一方で、レコード会社でのインタビューで、携帯電話でのダウンロードサービスからの収入が増えていることも分かった。ベトナムでのコンファレンスでは0中南米とアジアとの比較、アジアでの取り締まりや被害の実態、現地ジャーナリストや著作権者の意見などをもとに議論を行った。 最後に、海外研究連携者のものも含め論文二つが、学術雑誌に掲載された。
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Research Products
(5 results)