2008 Fiscal Year Annual Research Report
国家社会主義からの離脱・進化の多様性 : 市場経済化の国家戦略・制御能力の比較研究
Project/Area Number |
20402024
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
堀林 巧 Kanazawa University, 経済学経営学系, 教授 (70143873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝端 佐登史 京都大学, 経済研究所, 教授 (30239264)
ヤルナゾフ ディミター 京都大学, 経済学研究科, 講師 (80311661)
中屋 信彦 名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (20325559)
林 裕明 島根県立大学, 総合政策学部, 准教授 (30336903)
野村 真理 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (20164741)
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Keywords | 国家社会主義 / 市場経済化 / 旧ソ連・東欧 / 中国 / 国家の市場経済化戦略 / 国家の制御能力 / 進化 / 多様性 |
Research Abstract |
中国・旧ソ連・東欧諸国の国家社会主義(中央集権的計画経済)からの離脱・市場経済化を国家戦略・制御能力の視点から比較研究するという目的のために平成20年度には研究分担者6名が、中国、ロシア、ブルガリア、ルーマニア、フランス、ラトヴィアにおいて学術交流・調査を実施した。(1)中屋と金岡はそれぞれ鉄鋼業、上海証券取引所など金融市場の調査を実施し、市場経済化に際して中国政府は「管制高地」を掌握する戦略を取っていることを検証した。(2)溝端、林がモスクワのロシア高等経済学院で学術交流を行い、溝端は「欧州比較経済学会大会」(2008年8月30日。モスクワ)で報告を行った。溝端も林も、ロシアについて戦略的エネルギー企業を国家が掌握しており、エネルギー価格上昇で近年発展してきたものの、その後の価格下落で経済は停滞傾向にあり、製造業発展のための国家戦略(産業政策)が必要であるとみている。(3)ヤルナゾフはブルガリア、ルーマニア、フランスで学術調査・交流を実施し、特にポスト共産主義欧州諸国の為替レジームの相違(ユーロ圏、ユーロペッグ、変動為替制度)と金融危機のあり方の関連について考察し、その成果の一部を「欧州比較経済学会アジア・ワークショップ」で披露した。(4)野村はラトヴィアで史料収集を行い、当国の現在のアイデンティティ・ポリティクスとドイツ占領時代の民族間関係の関連を考察し、その成果をまとめつつある。(5)堀林(代表者)はポスト共産主義時代の旧ソ連・東欧諸国の資本主義化に関する内外諸研究をサーヴェイする論文を発表した。また、堀林は研究参加者の交流(研究会)を組織した(4回)。以上が平成20年度の研究実施と成果の概要である。金融危機と世界同時不況の現在、中国・旧ソ連・東欧の市場経済化の国家戦略・制御能力の比較研究という本課題の意義は増している。
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