2010 Fiscal Year Annual Research Report
多文化社会ハワイにおける沖縄系、日系、中国系、コリア系の民族間交渉と文化創生
Project/Area Number |
20402041
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
白水 繁彦 駒澤大学, グローバル・メディア・スタディーズ学部, 教授 (80095942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 克彦 立命館大学, 国際関係学部, 講師 (80449529)
城田 愛 大分県立芸術文化短期大学, 国際文化学科, 講師 (80425389)
野入 直美 琉球大学, 法文学部, 准教授 (90264465)
李 里花 LEC東京リーガルマインド大学, 総合キャリア学部, 講師 (50468956)
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Keywords | 多文化社会 / ハワイ / 民族間交渉 / オキナワン / コリアン / 帰米 / 演劇・舞台芸術 / フィリピン・中国系 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、多民族社会ハワイにおける構成民族間の交流・交渉と文化創生の過程を明らかにするため全員がハワイ(及び比較研究の地域)における調査に従事した。白水は昨年度の研究で部分的に明らかにした変容エージェント即ち活動家やメディアの送り手の調査を行い、ローカル化を含む文化変容の促進に寄与している側面を浮き彫りにし、その成果を公表した(別掲)。中野は、中国系民族祭を通じた民族間関係の研究を継続した。22年度はとくに中国系新年祭「水仙祭」において、民族祭のキーパーソンへの聞き取り調査を行なった。また、中国系とフィリピン系の民族間関係について、ハワイ大学図書館で歴史的資料を収集した。城田はハワイ二世ジョン・ヒロシ・シロタ原作で真珠湾攻撃前後のマウイ島のオキナワン一家をめぐる劇『ラッキイ・カム・ハワイ』が沖縄で2010年12月に上演されたのを観賞し、原作者、翻訳者、演出者、出演者たちに沖縄上演に関するインタビュー調査を実施し、ハワイと沖縄を繋ぐ移民史のリアリティーと移民演劇のリアリズム等に関する考察を行った。野入は、オアフ島でアメラジアンと帰米2世を対象とするライフヒストリー調査を行い、越境と入り込み、家庭における言語・文化とネットワークを中心に、ハワイにおいて、プランテーションの歴史を共有していないマイノリティーが「ローカルになること」の意味を分析した。李は、「コリアン・バー」報道事件の関係者への聞き取り調査を実施し、ハワイ社会のエスニック集団をめぐる表象問題の考察を行い、さらに「コリアン・バー」報道事件以後のコリア系のコミュニティの変化を明らかにした。以上、この共同研究の成果が白水編著『多文化社会ハワイのリアリティー:民族間交渉と文化創生』(御茶の水書房、2011年)である。なお、東北地方太平洋沖地震のために繰り越した現地調査を2011年夏に実施、所期の目的を達した。
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