2010 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナムのハンセン病(元)患者および家族の状況分析と社会復帰支援に関する研究
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20402045
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Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
渡辺 弘之 新潟県立看護大学, 新潟県立看護大学看護学部, 講師 (10300097)
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Keywords | ベトナム / ハンセン病 / 社会復帰 |
Research Abstract |
平成22年8月にベトナムの国立ハンセン病治療施設にて治療を受けている患者に対して実態調査を実施した。その結果、ベトナムに多剤併用療法(Multi-drug Theory,以下MDT)が導入された1983年以前に発病した群と83年以降に発病しMDTを受けた群を比較してみた場合、前者において障害程度が有意に高く後遺症の治療期間が長期化しているということが分かった。前者の群は高齢化し障害の程度も重いことから社会復帰が困難となっており、結果としてハンセン病村や病院内の障害者棟での生活を余儀なくされているという事実が発見された。それに対し、早期に発見され治療を受けた群は、スティグマ化につながりやすい可視的な身体障害の発生が少なく、社会復帰の面においても大きな支障は認められなかった。現在ベトナムにおけるハンセン病の新規患者発生率は1万人あたり0.07(2006)となっており、WHOの定めるハンセン病削減目標値をクリアーしている。しかし本調査の結果によって、ハンセン病村に在住する元患者の処遇問題が改善されておらず今後の課題として存在していることが明らかとなった。また、同施設に附設されているハンセン病村在住の子どもたち21名に対して調査を行い、その結果、対外的な関係において自分がハンセン病元患者の子どもであるという事実をどう周囲に打ち明けるかという精神的な葛藤を有するとともに、学校や職場において何らかの被差別経験を有するということが明らかになった。
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