2010 Fiscal Year Annual Research Report
市民参加による環境計画における手続き的公正と信頼に関する日欧比較調査研究
Project/Area Number |
20402051
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
広瀬 幸雄 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (10117921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大沼 進 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (80301860)
野波 寛 関西学院大学, 社会学部, 教授 (50273206)
杉浦 淳吉 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (70311719)
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Keywords | 環境計画 / 市民参加 / 手続き的公正 / 国際比較 / 信頼 / 意見の類似性 |
Research Abstract |
本年度の研究実績は以下の通りである。 1. 環境計画への市民参加事例としてのノイス市アンケート調査の分析と追加的ヒアリング調査 前年度に実施したアンケート調査結果を分析した。その結果、賛否が拮抗する場合には、二分法による賛否だけで議論している限りは市民参加の手続きが公正感をもたらすことには弱い効果しかないが、賛否両方の意見をふまえた決定に対しては、手続き的公正が重要な役割を持つことが示唆された。また、関心が低い人びとは高い人びとよりも相対的に手続き的公正の影響が弱いことから、関心が低い場合には自分の異なる意見を熟慮せずにヒューリスティックスで判断しやすいという可能性も示唆された。 ノイス市において、その調査結果を市当局および問題当事者にフィードバックした上で、調査結果の妥当性についてのヒアリング調査を行ったところ、その調査結果について肯定的なコメントを得た。 2. 参加手続きの公正さや意見の類似性が計画の受容に及ぼす効果に関するシナリオ実験の実施 ドイツや日本での社会調査結果にもとづいて、その要因連関を解明するためのシナリオ実験を実施した。係争的な環境計画の社会的受容に、公益を担保する市民参加の手続き的公正さと、私益を担保する参加代表者との意見の類似性のどちらがより大きいな影響を及ぼすかのシナリオ実験を実施した。その結果、計画への自己関連性が調整効果を持つこと、つまり計画が自身の私的利害に深く関わる利害関連条件では、計画策定に参加する市民の代表者と自身との意見の類似性が、計画が自身の利害と関連しない利害無関連条件では、市民の代表者の意見が反映される参加手続きの公正さが計画受容の主たる規定因になることを解明した。
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Research Products
(23 results)