2011 Fiscal Year Annual Research Report
小規模校にオルタナティブ教育を導入する教育効果に関する国際協同研究
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20402054
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
伏木 久始 信州大学, 教育学部, 教授 (00362088)
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Keywords | オルタナティブ教育 / 僻地小規模校 / 過疎地の教育方法 / 学習スタイル |
Research Abstract |
本研究は,全校児童生徒数や教職員数がきわめて少ない僻地の小規模校を対象に,少人数であるがゆえの長所を最大限に生かし,短所と考えられてきた教育条件を克服するための教育方法を開発し,その教育効果を明らかにすることを目的としている。本研究において過疎化に悩む僻地の小規模校の学習指導に導入する教育方法として,わが国の伝統的な一斉画一式の伝達講習型授業ではなく,一人一人の学習到達度や学び方の特性などにも着目して"個に応じた教育"を具体的に追究する学習スタイルを想定している。 4年目となる今年度は,日本国内の過疎化が進行する高知県土佐町と大月町,北海道三笠市,長野県内の小中併設校および信濃町の小中全校などの学習スタイルを実態調査するとともに,少子化と過疎地での人口減少に伴う学校統廃合の長所・短所など聞き取り調査した。また,昨年度までのフィンランドやスウェーデンなどの小規模校の参観に引き続き,ノルウェーの北極圏付近の山間僻地および離れ島の義務教育学校への参観取材も行い,僻地校が抱える学校経営上の諸問題は,福祉国家型の教育政策を続けてきた北欧諸国でも,地方財政との関連から日本の僻地と同様の問題が存在するものの,授業レベルでは地域の実情に即して自由度の高い実践が展開されている実情を理解できた。さらに,これら国内外の僻地校において実践される「個に応じた教育」のコンセプトが,それぞれの国や地域によって異なることや,それぞれの特色をふまえた学習スタイルを導入する工夫が教師のカリキュラム開発能力を高めることにも貢献することをインタビュー調査により明らかにできた。こうした調査結果を受けて,今後の過疎地の小規模校での実践に期待される学習スタイルを長野県内の僻地校を対象に構想し,小規模校ならではの教育課程の工夫改善と柔軟な学習集団の編成および多様な学習スタイルを導入した授業のモデルプランを構想した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内外の僻地校において,「個に応じた教育」のコンセプトの違いとそれぞれの特色を整理できたことと,日本の過疎地の小規模校で実践する学習スタイルを具体的にイメージできたことが研究成果としてあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成24年度には,日本の僻地小規模校での試行実践の有効性を測定することが主目的となるが,長野県上水内郡信濃町の学校等においてオルタナティブな学習スタイルでの授業を施行実践することを予定している。さらに,中国や東南アジアの僻地校に対しても,オルタナティブ教育を導入するためのノウハウを提供できるような方法論を整理し,国際協同研究を発展させていく基盤づくりを行う。
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Research Products
(7 results)