2010 Fiscal Year Annual Research Report
現代英国の若者の労働市場への移行実態と移行・就労支援政策の効果に関する実証的研究
Project/Area Number |
20402057
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Research Institution | Soai University |
Principal Investigator |
佐野 正彦 相愛大学, 共通教育センター, 教授 (00202101)
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Keywords | 若年労働市場 / 学校から雇用への移行 / イギリス / 継続教育カレッジ / 職業教育 / コーホート調査 / 就労支援 |
Research Abstract |
2009年夏に継続教育カレッジを離学予定の若者を対象にした第1回調査の回答者208名の若者のうち、彼らの離学後の計画に関する回答にもとづいて、典型的な進路ごとにサンプルが得られるように抽出した65名に対し、対面式インタヴューを依頼・実施した(2010年8月-10月)。結果、33名からの回答を得た。 調査の主な目的は、(1)それぞれの進路を選択した背景、理由、選択決定に影響を与えた人物や機関、日々の生活におけるサポート(経済および精神的な援助者やネットワークについて)、(2)仕事に就いている者には、(i)求職の方法、採用決定までのプロセス、(ii)仕事の内容、労働条件、仕事への態度(満足度)等、(3)教育を継続している者には、(i)所属教育機関、コースの内容、(ii)将来のキャリア計画、現在の教育と将来計画との関係等、(3)求職者には、(i)それまでの職歴、求職活動の実態、(ii)キャリア計画を含む将来の計画等、(4)その他の活動に従事している者の実態、を明らかにすることであった。主な発見は、以下のごとくである。 (1) 継続教育カレッジで職業教育を受けた若者のしかも離学後1年間に限っても、その労働市場への移行ルートや実態は実に複雑で多様である。 (2) 経済不況と重なったこともあり、彼らの雇用への移行は必ずしも安定的なものでない。特に資格レベルの低いこと労働経験(職歴)の欠如が、若者の移行を困難なものにする。また、家庭的な背景(経済的文化的状況)の影響も小さくない。教育を継続している者の中には、安定的な仕事を獲得できなかったこと、その結果としてより安定的な仕事獲得には資格や経験が必要であることを実感して、進路を変更した者が少なくない。 (3) 求職活動や採用のプロセスは、セクターや職種ごとに非常に多様である。インターネットを利用した求職活動をほとんどの者が行っているが、家族や友人・知人といった人的ネットワークが決め手となるケースが少なくない。
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