2011 Fiscal Year Annual Research Report
「患者の選択」をめぐる英国政策過程の分析:自由・効率・公平をめぐるダイナミズム
Project/Area Number |
20402070
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松田 亮三 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (20260812)
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Keywords | 医療政策 / 配給 / NHS / イギリス / 市場 / 患者の選択 / 終末期医療 |
Research Abstract |
ブレア政権成立(1997年)以後を中心に、(1)政策に関する分析軸をめぐる議論についての理論的検討、(2)研究対象期間における保健・医療政策についてのデータの収集、(3)分析と総合、(4)成果の発表、を実施した。 本年度は、(1)については配給(rationing)をめぐる議論の重要性を再確認し、NHS創設以来の議論について、文献資料の収集・分析を行った。また、2011年9月にロンドン大学政治経済学院で開催された配給(rationing)に関する学際的研究集会に参加し、Rationingがどのように争点化されているか、他の政策とのかかわりでどのような意味をもつかについて検討を深めた。その結果、これまであまり注目されてこなかったが、英国医療政策においては配給の問題は最重要問題の一つであり、多方面の議論がなされていること、また歴史的にみて旺盛に議論されている時期が何度かあり、2010年前後から再びそのような時期を迎えていること、それは高齢化の進展やがんの終末期医療とかかわって議論されていることが明らかになった。さらにエビデンスの利用など、公衆衛生政策の展開についても検討した。(2)については、イングランドの政策展開とともにスコットランド・ウェールズの医療政策についての文献資料収集と検討を行った。イングランド・ウェールズについては、インタビューを含む現地調査を実施した。 (3)については、以上の作業をふまえた成果の総合についてワーキングペーパーをまとめつつあり、また単行本の編成を行っている。(4)については、配給についての日英比較を行い医療制度が規定する配給のことなる文脈を明らかするとともに、日本の現状分析も報告した。また、本年度は交付最終年度にあたり、これまでの成果をふまえ、英国が研究者を招き、NHSにおける患者の選択についてのシンポジウム(研究セミナー)を開催した。これらの成果をまとめて単行本として出版する作業について、今後すすめる予定である。
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Research Products
(4 results)