2010 Fiscal Year Annual Research Report
インド洋大津波の再来間隔の解明―スリランカ古津波調査
Project/Area Number |
20403002
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
原口 強 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (70372852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 祐典 東京大学, 海洋研究所, 准教授 (10359648)
後藤 和久 千葉工業大学, 惑星探査研究センター, 上席研究員 (10376543)
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Keywords | 津波 / 災害 / インド洋大津波 / 海洋科学 / 年代分析 |
Research Abstract |
本研究は津波堆積物を用いたインド洋における過去の巨大津波の発生時期と再来間隔の推定を目的としている.インド洋における過去の巨大津波の発生時期と再来間隔を知ることは,将来の津波リスクを確率的に評価し,必要十分な防災対策を講じるために極めて重要である. 2004年インド洋大津波以降に国内外の複数グループにより同様の研究がインド洋各国で試みられている.しかしながらインドネシア周辺は大小様々な地震津波を受ける位置にあり,それらの中から巨大津波のみを識別するのは不可能に近い.一方,スリランカでは海溝型地震は皆無で上記のノイズが無視できる.したがって,スリランカで見つかる津波堆積物はそのままインド洋における過去の巨大津波の発生時期を示している可能性が極めて高い.この点がインド洋の他の地域に比べた時のスリランカの大きなアドバンテージである. 津波堆積物からの再来周期の復元を行うには,(1)最近の数千年間の堆積物記録が連続的に得られること,(2)湖沼等の普段は静穏な環境であること,(3)海岸線や河川から十分離れた過去においても津波以外に海起源の砂粒子が堆積し得ないと考えられる場所であること,が重要条件である. 22年度は治安が回復したスリランカ東部において掘削を実施した.掘削コアには,泥炭層の間に海洋起源のプランクトンを含む砂層が複数層存在することが明らかになった.年代測定の結果,我々が採取したコアでは,南東部では最大7000年ほどの地質記録が得られること,およそ600-1000年の間隔で津波起源と考えられる砂層が堆積していることが明らかになった.さらにスリランカ南部~南東部の広域計算に加え,南東部のキリンダ地域を対象として,詳細な数値計算を実施した.その結果,特にキリンダ地域を対象とした津波遡上計算結果は現地の痕跡をよく再現でき,津波堆積物の分布も説明ができることがわかった。
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Research Products
(1 results)