2008 Fiscal Year Annual Research Report
タクラマカン砂漠上の局地循環と黄砂の発生機構の解明
Project/Area Number |
20403008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
甲斐 憲次 Nagoya University, 環境学研究科, 教授 (50214242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 靖 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (80283472)
竹見 哲也 京都大学, 防災研究所, 准教授 (10314361)
田中 泰宙 気象庁, 気象研究所, 主任研究官 (50435591)
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Keywords | 黄砂 / 環境変動 / ライダー / 数値モデル / 気象学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、タクラマカン砂漠を取り巻く3次元地形と中央アジアという地理的位置に起因する局所な特性を解明し、それが東アジア域での黄砂の長距離輸送にどのように関わっているかを解明することである。この目的を達成するため、現地ライダー観測・衛星観測・数値シミュレーションという手法を総合化し、研究を推進する。 当初の研究計画では、中国新彊ウィグル自治区アクスのライダーシステムにYAGレーザーの基本波1064nmの受信チャンネルを増設、多波長化し、532nmと1064nmの散乱比より、黄砂の粒径情報を夏季及び秋季に現地にて集中観測を実施する予定であった。 ところが、新彊ウィグル自治区で、平成20年8月4日にカシュガルで、8月10日にはクチャでテロ(武装警察襲撃事件)が発生した。この事件の影響で、新彊ウィグル自治区への外国人による調査が禁止となった。このため、夏季および秋季観測を実施することができなかった。ウィグル自治区での現地調査を行わなければ、本研究の目的である局地循環と黄砂の発生機構を解明することはできない。 平成21年1月になって、現地の情勢が安定し、中国側パートナーの周宏飛教授(中国科学院新彊生態地理研究所)から、現地への立ち入りが可能であるとの連絡があったため、平成21年3月に現地調査を実施した。途中、蘭州では中国科学院寒区旱区環境工学研究所、ウルムチでは中国気象局沙漠気象研究所で講演を行い、黄砂に関する研究交流を深めた。 アクスでは、夏季に行う予定であったライダーシステムの保守および改良の作業を中心に実施した。現地のライダーは、平成12-16年度科学技術振興調整費「風送ダストの大気中への供給量評価と気候への影響に関する研究」で整備したものである。4年ぶりに清掃・保守を行うことにより、レーザーが規定通り発振した。このことにより、現地ライダーを本研究で活用できることを確認した。新システムによる本格的な観測は、平成21年5月に観測を実施する予定である。
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