2008 Fiscal Year Annual Research Report
太平洋島嶼における天然有機ハロゲン化合物の生成機構および生物濃縮に関する研究
Project/Area Number |
20404006
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Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
原口 浩一 Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences, 薬学部, 教授 (00258500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 哲也 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (10133216)
小瀧 裕一 北里大学, 海洋生命科学部, 准教授 (30113278)
松原 大 第一薬科大学, 薬学部, 准教授 (60368975)
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Keywords | 天然臭素化合物 / 海洋哺乳動物 / イタチザメ / methoxy PBDE / ハロゲン化ビピロール / 海藻 / 培養 / 食物連鎖 |
Research Abstract |
1、フィリピンおよびオーストラリアにおいて海藻および魚介類(約60品)を収集し、天然ハロゲン化合物の分析を行った。海藻には現在、天然ハロゲン化合物の分布は確認されていないが、貝類およびキハダマグロ中にppbレベルでMeO-PBDEが蓄積していることから、貝類の採取とその生産菌の培養を継続中である。 2、知床半島で座礁したシャチ9頭を用いて脂肪組織中に天然由来臭素化合物6種の定量を行った。それらの濃度はPBDEより5〜25倍高濃度であった。天然由来臭素化合物は母子移行することが分かった。シャチの肝臓にはPCB代謝物であるmethylsulfone体およびdihydroxy体が検出され、その代謝物パターンはハムスターにPCBを投与した後の体内分布パターンと類似することが分かった。さらに、房総半島で座礁したカズハゴンドウの組織に、ハロゲン化ビピロールおよびmethoxy-PBDEがPBDEより高濃度で蓄積していることをLC/MS/MSおよびGC/MSにより確認した。 3、沖縄石垣島沖のイタチザメ42匹の肝臓中のmethoxy-PBDE濃度と体長の関係を調べた。 PBDEやPCB濃度が体長と相関するのに対し、MeO-PBDEと体長は相関しないことから、天然由来ハロゲン化合物の発生源がPBDEのそれと異なることが示唆された。つぎに、ブダイ、マグロ、クジラに残留するMeO-PBDEおよびBr_4Cl_2-DBPの組成と濃度を調べ、食物連鎖による濃縮経路を推定した。ヒト母乳で検出された天然由来臭素化合物はこの生物濃縮による食事由来であると考えられる。
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Research Products
(6 results)