2010 Fiscal Year Annual Research Report
太平洋島嶼における天然有機ハロゲン化合物の生成機構および生物濃縮に関する研究
Project/Area Number |
20404006
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Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
原口 浩一 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (00258500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 哲也 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (10133216)
小瀧 裕一 北里大学, 海洋生命科学部, 准教授 (30113278)
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Keywords | 天然臭素化合物 / 海藻 / Hydroxy-PBDE / 生物濃縮 / メチル化 / 環境動態 / 海綿 |
Research Abstract |
フィリピンのルソン島で収集した貝類および海藻について、天然由来有機ハロゲン化合物を単離した。フィリピン産Thorny Oyster (Spondulus sp.)では、若い個体ほどhydroxy-PBDEが高濃度で取り込まれ、成長(体重増加)ともにメチル化(MeO-PBDE)され残留することがわかった。これによりヒトを含む哺乳動物中のMeO-PBDE残留機構は、海藻-貝類-魚類における食物連鎖の過程で、微生物によるメチル化濃縮機構が大きく関与していると考えられる。 ベトナムハロン湾で探索した貝類(Periglypta crispta)からハロゲン化ビフェニルジオール体4種が高濃度で検出された。それらは、抗菌効果(抗MRSA活性)を有する2,2'-dihydroxy-BB80と類似構造であることがわかり、抗菌薬のリード化合物として注目される。 パラオ諸島の海綿動物からdihydroxy-PBDE(4-6臭素化体)およびメトキシ体を単離し、その混合異性体の分析法としてAPCI(-)-LC/MS/MS法を確立した。海綿中のdihydroxy体およびdimethoxy体はフィリピンや沖縄の海藻にも共通して観測され、その起源はbromocatecholとtribromophenolの縮合したdiOH-PBDEであると推察された。これらはメチル化によりdimethoxy-PBDEとして日本近海のマグロや高等生物(鯨類など)に濃縮され、ヒトへ食事経由で曝露されることが示唆された。東アジア海域の海藻における天然由来臭素化合物の分布動向は、環境汚染物質を経時的モニタリングする際の指標物質になり、そのうちOH-PBDEは抗酸化剤や抗菌薬のリード化合物として創薬への展開が期待される。
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Research Products
(7 results)