2011 Fiscal Year Annual Research Report
バングラデシュ村落部における地下水中ヒ素除去装置の開発と普及に関する実証的研究
Project/Area Number |
20404011
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
北脇 秀敏 東洋大学, 国際地域学部, 教授 (60251344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 映理 東洋大学, 国際地域学部, 准教授 (20511322)
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Keywords | バングラデシュ / 地下水 / ヒ素対策 / 適正技術 / 商業化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、バングラデシュ村落部において地下水中ヒ素除去装置を普及させる手法を考察することである。その目的の実施のため、平成23年度は2回の現地調査を行い、前々年度に設置した実証プラントの使用状況の再調査を行った。また平成23年度は、前年度に引き続き調査対象地域の住民の健康問題に関する調査を行った。すなわち体重等の住民の体格調査、市場における摂取可能な食材や栄養状況の調査等を行い、ビタミン摂取によるヒ素の体外への排出に関する研究も引き続き行った。さらに貧困層に対してヒ素除去装置を普及させる際の考え方としてBOPビジネス(Bottom of the pyramid business)に関する研究も継続して行った。 その一環として統計資料等による家計支出額の算定、可処分所得に対する水供給への支出可能額の概算などを考慮することにより、どのような水供給技術が現地において経済的に利用可能かなどを算出した。さらにヒ素により汚染されている比較的浅い管井戸の代替水源としての深井戸の建設の可能性を調査するため、すでに建設されている深井戸の使用状況についての調査を行った。 なお、バングラデシュでは水瓶として最近プラスチック製の40L容器の普及が著しく、それを利用した水の保管状況の調査も行った。さらにその水の処理(凝集・殺菌)を行うための薬品類の市場での調達の難易度や価格の調査も行い、代替水源の処理による安全な飲み水供給の可能性も調査した。 平成23年度はこのように前年度までのAIRP(鉄・ヒ素同時除去装置)の商業化だけではなく代替水源や、表流水等の処理と、そのためのBOPビジネスまで研究の幅を広げて作業を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
すでに前年度までに研究計画通りヒ素除去装置を現地に建設し、その使用状況や問題点を把握できた。また当初の研究予定に加え、現地住民の支払い可能額に応じて経済的に妥当なヒ素除去装置の各種代替案を提案できるよう経済的側面からの検討にも着手したが、今年度も引き続き検討を行った。すなわち多くの貧困層と少数の富裕層からなる「経済ピラミッド」を研究対象地域について設定し、そのピラミッドの各層が購入可能な代替案を提案できるように研究を行い、論文をとりまとめた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は前年度に引き続き、上記の経済ピラミッドに対応したヒ素除去装置の技術レベルの選択手法の構築に力を傾倒し、BOP(Bottom of the pyramid)ビジネス等にヒ素対策手段を組み込むことにより、ヒ素除去装置の商業化による健康の増進と収入向上という本研究の目的を追求したい。
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Research Products
(7 results)