2008 Fiscal Year Annual Research Report
近代的な都市づくりを目指した「日本租界」の都市空間構成の実態調査
Project/Area Number |
20404017
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
趙 世晨 Kyushu University, 大学院・人間環境学研究院, 准教授 (80304848)
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Keywords | 日本租界 / 空間構成 / 外交記録 / 武漢 / 天津 |
Research Abstract |
本研究は、かつて中国に存在した5つの「日本租界」を対象に、当時の外務省の外交記録等の史料を解読し、租界設立同時の情報を把握すると同時に、現地の協力者と共同で総合調査を実施し、日本租界の都市空間の構成及びその変容を明らかにし、また、街区の構成、建築物の配置等を計測調査し、日本租界に関する空間情報のデータベースを作成することによって、今後、わが国の都市計画史を理論的に評価・分析するための資料・情報の提供に寄与することを目的とする。 本年度は、初年度であり、武漢市及び天津市を対象に総合調査を実施し、関連資料の収集、土地利用現況調査を行った。また、租界設立時の外交記録等史料を解読し、文献等の整理を行った。 漢口の日本租界は当時の中心市街地から遠く離れていた場所に設置されたが、これはドイツ租界と同様に鉄道開通後の発展を見越していた。しかし、その後鉄道の開通が実現されず、これは日本租界の発展に大きな影響を与えたことがわかった。 また、日本租界の空間構成については、租界設置時から道路網はほとんど変化することがなく、現在の市街地の骨格となっている。また、天津の日本租界には、租界設置当時の建物が多く残っているに対して、漢口の日本租界には非常に少ない。しかしながら、両租界とも当時の骨格となる街路や街区のスケールが維持されている。 当時、租界の営造は都市空間の形成のみならず、人々の生活の形態にも影響を与え、旧租界地としての雰囲気が色濃く残していることは現地調査で確認することができた。
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