2010 Fiscal Year Annual Research Report
西アフリカ内陸半乾燥地での砂漠化対処における水平技術移転アプローチに関する研究
Project/Area Number |
20405005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 樹 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (10231408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真常 仁志 京都大学, 農学研究科, 助教 (70359826)
三浦 励一 京都大学, 農学研究科, 講師 (60229648)
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Keywords | 砂漠化 / 水平技術移転 / 半乾燥熱帯 / 在来技術 / 環境適合性 / 技術・知識の波及経路 / 地域支援アプローチ / サヘル地域 |
Research Abstract |
平成22年度は、ニジェール国およびブルキナファソ国でのフィールド調査を行なった。ニジェール国で発生したクーデター(平成22年2月)により、渡航見合わせや研究日程の再調整を余儀なくされたが、治安状況に注意を払いつつ、当初の計画どおり進捗した。 1)「耕地内休閑システム」村落実証試験:研究メンバーらが開発した「耕地内休閑システム」の実証試験を、国際半乾燥熱帯作物研究所・ニアメー支所のサドレ試験区と隣接する村落(フィナーレ村)にて行なった。 2)在来の情報・技術伝播経路に関する調査:「耕地内休閑システム」をマーカーとして、フィナーレ村における情報・技術伝播経路の詳細を明らかにした。社会ネットワーク調査(情報のネットワーク、信頼のネットワーク)では、同一村落内での人間関係とその断絶の状況が明らかとなり、サヘル農村の形成過程や民族構成との関係性が見えつつある。これらから、従来の地域支援での住民参加型アプローチの限界性と改善点を明らかにした。 3)人為-土壌環境応答と肥沃度メカニズム:国際半乾燥熱熱帯作物研究所・ニアメー支所のサドレ試験区に12基のライシメータを設置し、土壌内環境と養水分環境のモニタリングができるようにした。 4)砂漠化対処に有望な在来技術の発掘:ブルキナファソ国中部・クングーシ周辺の村落にて「ザイ」および「ディゲット」と呼ばれる在来技術の調査を実施し、その問題点と改良点を明らかにした。 5)研究成果の社会実装:本研究チームのメンバーが中心となり計画立案し、国際共同事業で関わりの深い「地球・人間環境フォーラム」を通して提案したJICA草の根パートナー型技術協力事業「ニジェール共和国・サヘル地域での砂漠化対処および生計向上への農民技術の形成と普及(平成22年4月~平成25年3月)」が採択された。これにより、「耕地内休閑システム」がニジェール国の西部(シミリ県、ナマロ県、サイ県、コイゴロ県)と南東部(テッサウア県)に紹介され、普及地域が拡大しつつある。学術研究の成果を社会実装する事例として特筆される。
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