2009 Fiscal Year Annual Research Report
ハビタット分化と密度依存効果的死亡の相互作用が熱帯林の樹木多様性維持に果たす役割
Project/Area Number |
20405011
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
伊東 明 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 准教授 (40274344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名波 哲 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70326247)
原田 光 愛媛大学, 農学部, 教授 (40150396)
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Keywords | 国際研究者交流 / マレーシア / 熱帯雨林 / ハビタット分化 / 同種密度依存的死亡 / 種多様性 / フタバガキ / サラワク |
Research Abstract |
1. 樹木および稚樹群集の動態解析:マレーシアサラワク州ランビル国立公園の大面積調査区(52ha)、および、稚樹プロットのデータを用いて、樹木の死亡に対する、個体サイズ、ハビタット、同種密度依存的要因の効果、および、ハビタットと同種密度依存的要因の相互作用がどのサイズクラスに作用しているのかをロジスチック回帰で解析した。その結果、稚樹と直径5cmまでのサイズクラスではすべての効果が認められたが、直径5cm以上では、個体サイズとハゼタツト効果のみが認められた、この結果は、熱帯雨林樹木群集の種多様性とハビタツト依存的分布の形成維持メカニズムとして、ハビタットと同種密度依存的要因の相互作用が重要であることを示唆すると同時に、このメカニズムが稚樹段階から直径5cmまでの長期にわたって作用していることを示している。 2. 実生移植実験:上記のメカニズムに作用する具体的な要因を調べるために、ハビタットの異なる10種の実生を育て、これらの実生を2ハビタット(砂質土壌、粘土質土壌)、2同種密度(低密度、高密度)、2薬剤処理(殺虫剤・殺菌在有、無)の処理区に移植した。今後、各処理区の実生の死亡、成長、被食率、病気の状態を継続的に測定する。本実験によって、ハビタットと密度依存的な死亡に被食、および、病気が影響しているかどうかを検証できると期待される。 3. DNAの採取と解析:調査区内のフタバガキ科全種からのDNAを抽出を完了し、サラワク植物研究センターおよび、日本に保管した。一部の樹種について、葉緑体DNA、および核DNAの解析を行い、既存の配列データも用いて予備的な系統樹を作成した。今後・全樹種の解析を実施することで調査区内のフタバガキ科の詳細な系統樹を作成予定である。
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