2011 Fiscal Year Annual Research Report
ハビタット分化と密度依存的死亡の相互作用が熱帯林の樹木多様性維持に果たす役割
Project/Area Number |
20405011
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
伊東 明 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40274344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名波 哲 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (70326247)
原田 光 愛媛大学, 農学部, 教授 (40150396)
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Keywords | 国際研究者交流 / マレーシア / 熱帯雨林 / ハビタット分化 / 同種密度依存的死亡 / 種多様性 / フタバガキ / サラワク |
Research Abstract |
1.稚樹群集の動態解析:マレーシアサラワク州ランビル国立公園の大面積調査区の直径1cm以上の全個体、及び、稚樹調査区内の直径1cm未満の個体の動態データを総合し、死亡率に対するハビタット効果と同種密度依存的効果の交互作用をロジスチック回帰分析で再解析した。その結果、群集レベルでは、実生から直径5cmまでのサイズで、好適ハビタットでは同種密度依存的効果が小さくなるという、類似した交互作用が働いていることが確認できた。これは、交互作用がハビタット分割と多種共存の両方に重要な役割を果たしていることを示唆する。 2.実生移植実験:10種の実生について、移植14か月後の死亡率、成長量、新葉の被食率を測定した。一般化線形モデルとAICによるモデル選択で、死亡率と被食率に与える種、ハビタット、同種密度、殺虫・殺菌剤の主効果と交互作用を解析した。死亡率では、種と土壌の交互作用のみを含むモデルが選ばれ、ほとんどの種で好適ハビタットと同じ土壌に植えた場合ほど死亡率が低下した。被食率では、全4要因の交互作用を含むモデルが選ばれ、平均的には、粘土質土壌、高い同種密度、殺虫・殺菌剤なしの各処理区で被食率が高くなり、これらの要因が被食に影響していることが示された。また、砂質土壌を好適ハビタットとする種は、粘土質土壌で被食率が大きく増加し、相対的に被食耐性が低いことが示唆された。このことから、被食耐性の違いとハビタットによる被食圧の違いがハビタット分割に関係している可能性がある。 3.分子系統樹とハビタットニッチの関係:pigC遺伝子の塩基配列に基づいてフタバガキ科樹種の分子系統樹を作成し、大面積調査区における各種のハビタットとの関係を解析した。その結果、近縁種間ほどハビタットニッチが離れている傾向があり、近縁種間の共存にハビタット分割が重要であることが示唆された。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Demographic history of Shroea curtisii (Dipterocarpaceae) inferred from chloroplast DNA sequence variations2011
Author(s)
Kamiya K., Nanami S., Tanaka K., Yoneda R., Diway B., Chong L., Azani M., Majid N., Lum S., Wong K., Harada K.
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Journal Title
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Effects of habitat and conspecific density on tropical tree seedlings : results of a transplantation experiment2012
Author(s)
Itoh, A., Miyazaki S., Matsuyama, S., Nanami, S., T. Yamakura, Tan, S., Chong, L
Organizer
ATBC Asia-Pacific Chapter Annual Meeting
Place of Presentation
シーサンパンナン熱帯植物園(中国)
Year and Date
2012-03-27
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